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花澤香菜が語る『劇場版 呪術廻戦 0』"愛と呪い"を抱える里香が開いた新しい扉

2025.10.17(金)

花澤香菜が語る『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映への思い
花澤香菜が語る『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映への思い

2021年の劇場公開以来初となる『劇場版 呪術廻戦 0』の復活上映が、2025年10月17日(金)より公開することが決定した。『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』で描かれた五条と夏油の選択のその先を、そして乙骨と里香がたどる"愛と呪い"の物語を、再び大スクリーンで体験できる貴重な機会となる。

原作者・芥見下々が生み出した数あるエピソードの中でも、強い支持を集める『呪術廻戦 0』。孤独な少年・乙骨と、呪いの存在となってしまった少女・里香が紡ぐ切なくも壮大な物語は、公開当時に多くの観客を涙させた。

そんな本作で、ヒロイン・里香を演じたのが花澤香菜。幼少期の可憐な少女から、特級過呪怨霊と化した恐ろしい姿までを演じ分ける難役を担い、作品の核を支えた。今回のインタビューでは、アフレコでの印象的なエピソード、緒方恵美との共演で得た刺激、さらには復活上映に寄せる思いや自身に訪れた変化までを語ってもらった。

『劇場版 呪術廻戦 0』にて、アフレコ当時のエピソードを振り返る花澤香菜
『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映に際して、アフレコ当時のエピソードを振り返る花澤香菜

――TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」を控えているタイミングですが、今回『劇場版 呪術廻戦 0』が復活上映されることが決定しました

「実はかなり前にお話をいただいたのですが、シリーズ自体がとても盛り上がっている中で、改めて『劇場版 呪術廻戦 0』を大きなスクリーンで観てもらえる機会をいただけたのは本当に嬉しかったです。五条先生と夏油の物語が描かれている作品なので、もう一度ふたりの姿を劇場で観たいと思う方もきっと多いはずですし。配信ではすぐに観られる作品ではありますが、映画館で改めて体験できるというのは、ファンの方にとっても喜んでもらえるお知らせだったんじゃないかなと思います」

――出演が決まった当時のことは覚えていますか?

「オーディションで決まりました。それまで『呪術廻戦』に関わる機会がなかったので、オーディションを受けるにあたってアニメを第1話から観始めたんです。そしたら止まらないくらい面白くて、『これは絶対に受かりたい!』と思いました。『呪術廻戦 0』は1本の物語としてきれいにまとまっているので、テレビアニメとはまた別の作品としてしっかり作り上げられるんだ、とワクワクしましたね。ただ正直、特級過呪怨霊化した里香をどう演じるかは想像がつかなくて...。だからこそアフレコのことはすごくよく覚えています。収録自体は短い期間でしたが、少女時代から怨霊化した姿までを演じ分けるのは本当に挑戦でした」

『劇場版 呪術廻戦 0』より幼少期の乙骨と里香
『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映より、幼少期の乙骨と里香

――幼少期の可愛らしい里香と、特級過呪怨霊と化した恐ろしい里香という2つの姿を演じ分ける役でしたね。演じるにあたって、どのようにアプローチしましたか?

「自分の体じゃないことへの気持ち悪さや、ギザギザした歯でうまく喋れない感覚など、肉体的な変化をまず意識しました。でも、里香自身は人を怖がらせたいと思っているわけではなく、ただ乙骨くんのために頑張りたいだけなんですよね。そこを丁寧に説明していただけたので、とても演じやすかったですし、そうやればいいんだという発見もありました。一方で少女の里香はとても積極的で、おませな一面も描かれています。婚約指輪を渡すシーンや、公園で一緒に遊ぶキラキラした瞬間など、乙骨くんと里香にとって2人の時間がとても大切なものであることがしっかりと表現されていました。アニメでは描かれなかった里香の生い立ちも、漫画を参考にして演じました。家庭環境があまり良くない中で乙骨くんと出会えたこと、そして乙骨くんの存在が彼女を支えていたことを強く意識してアフレコに臨みました」

『劇場版 呪術廻戦 0』より特級過呪怨霊と化した里香
『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映より、特級過呪怨霊と化した里香

――アフレコ時の印象的なエピソードといえば、緒方さんとのやりとりで花澤さんのセリフが尺に収まらなかったことがあったそうですね

「『大大大大大好きだよ』のシーンですね(笑)。リハーサルで一度やったときに感情が高ぶりすぎてしまって、セリフの尺を大きくオーバーしてしまったんです。そのテイクもすごく良かったんですが、本番では改めて尺に合わせた形で演じ直しました。そのとき、緒方さんがブースの外でリハの声を聴いていてくださって、『良かったよ』と声をかけてくださったんです。あの瞬間は本当に嬉しくて印象に残っていますね。あの幻のテイクは、私の中では宝物です」

――今回の収録は、緒方さんとの掛け合いが大きなポイントだったと思います。花澤さんも憧れの存在と話されていました、今回ご一緒されていかがでしたか?

「本当に素晴らしい時間でした。緒方さんは役に入り込む深さが圧倒的で、掛け合いをするだけで私自身も自然に世界に入り込めるんです。とても刺激を受けましたし、安心して演じられました。全てを一緒に録ったわけではなく、私が担当したのは主に幼少期の掛け合いでしたが、小さい頃の乙骨くんがあまりに可愛らしくて...。漫画で読んでいたときも感じましたが、実際に掛け合うことで、里香としての乙骨くんへの愛しさがより一層強まりました」

『劇場版 呪術廻戦 0』の魅力を語る花澤香菜
『劇場版 呪術廻戦 0』の魅力を語る花澤香菜

――改めて『呪術廻戦 0』の魅力について教えてください

「私は『呪術廻戦』初心者だったんですが、『呪術廻戦 0』は初心者でもすごく入りやすい作品だと思います。これだけ観ても物語が理解できますし、芥見先生が最初に考えたエピソードということもあって、非常にまとまりがあるんですよね。それに、里香が怨霊になってしまうときのやるせなさや切なさ。乙骨くんにとっては呪いでありながら、同時に一緒に歩んでいく存在でもある。その"愛"や"呪い"、"絆"といったテーマが、観る人によってさまざまに受け取れるのも大きな魅力だと思います。里香を演じさせていただいた立場としては、とても素敵な物語だなと感じています」

――キャラクターたちの魅力も大きいですよね

「そうなんですよ。東京都立呪術高等専門学校の仲間たちも個性豊かで面白いんです。五条先生は導いてくれるタイプではなくて、どちらかといえばスパルタ(笑)。でもその分、真希・棘・パンダの3人が乙骨くんをしっかり支えてくれて、友情が芽生えていく。その過程が胸を熱くさせてくれるんです」

『劇場版 呪術廻戦 0』より真希・棘・パンダ
『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映より、真希・棘・パンダ

――ちなみに花澤さんの"推しキャラ"はいますか?

「もちろん一番は乙骨くんです(笑)。でも、中学生の頃の私がもしグッズを集めるとしたら、七海ですね。メガネでスーツ姿のおじさまが大好きで...。初登場時の"やれやれ"と言いながら戦う感じや、ネクタイを緩める仕草がたまらなくて。そこに津田さんのお声が加わるのは、もうずるいですよね。今の私ならきっとアクリルスタンドを持ち歩いていたと思います。
もちろん七海だけじゃなくて、夏油も悪役として描かれていながら背景を知れば好きになってしまうし、五条先生は言わずもがな。あの3人(真希・棘・パンダ)も本当に魅力的で、誰かしら推しキャラを見つけながら観ている方が多いんじゃないかなと思います」

――劇場版公開からまもなく4年が経ちますが、この間でご自身の中で変わったと感じることはありますか?

「そうですね...人間以外のキャラクターを演じる機会が増えたなと感じます。里香は本当に難しい役でしたが、その経験が新しい扉を開いてくれました。少女らしい魂を持ちながらも異質な存在である、という里香の特性は、加工の力も大きくお借りしつつ挑戦した役柄だったと思います。それ以降、イルカや魚類といった、ちょっと一筋縄ではいかないようなキャラクターを演じることが増えてきました。そういう役を任せていただけるのはとてもありがたいですし、自分にとっても大きな変化だったと思います」

『劇場版 呪術廻戦 0』メインビジュアル
『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映 メインビジュアル

取材・文=川崎龍也 撮影=内田大介

公開情報

『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映

2025年10月17日(金)より全国公開