板垣李光人、「ばけばけ」で堤真一&北川景子との親子共演を振り返る「不仲な父との絶妙な関係を作るため、堤さんとは現場であえて話し過ぎないようにしていた」
2025.10.17(金)

小泉セツ&八雲(ラフカディオ・ハーン)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く連続テレビ小説『ばけばけ』。主人公・松野トキ(高石あかり)(※「高」は正しくは「はしごだか」)が勤める機織り工場を経営する雨清水家は、かつて誉れある武士の家だった。その三男・三之丞(さんのじょう)を、板垣李光人が演じている。
第3週では、工場が経営難に陥り、三之丞の父親で当主の傳(でん)(堤真一)が病に倒れ、母・タエ(北川景子)も苦難に直面する。時代の変化に翻弄される三之丞というキャラクターを、板垣はどのように捉えて、撮影現場で共演者とどう演じているのか、今回インタビューを行った。

――三之丞は雨清水家の三男で、兄が家督を継ぐために目をかけられずにきた、不憫な立場。養子に出された実の姉であるトキの方が貧しい環境で育ったにもかかわらず、仕事や看病など役に立つ人間に育ったところを見せつけられ、みじめな思いをするという展開でした
「そうですね。松野家は、雨清水家ほど裕福ではないですが、家族が身を寄せ合って暮らし、家族の絆がある。一方、雨清水家は、広い屋敷の中でそれぞれが暮らし、家族が深く交わることがない。僕は放送を見て、台本以上にその対比をすごく感じました。その中で三之丞は、トキと比べられる存在。第2週で登場したときは、トキをただの友達と思っていたから『僕が(トキの家に)婿入りしようか?』というような冗談も言えたわけです。トキに対して恋愛感情は持っていなかったと思います(笑)。現場に入るとき、その登場時点と、第3週から『実の姉だったのか...』と関係が変化していくところのコントラストをつけようと意識していました」
――第3週、雨清水家で父親の傳が倒れたとき、三之丞がそれまでため込んでいた自分の気持ちをぶつけた場面がとても印象的でした。あの場面には、どのような気持ちで臨みましたか?
「そこは、時代に翻弄されてしまった雨清水家の姿をしっかりと出したいと思っていました。松野家に養女に出されたトキが雨清水の両親に大切にされているのを目の当たりにした三之丞が『できれば、私もよそで育ちたかったです』と言うシーンをどう演じるかで、伝わり方が全く変わってくる。それまでの三之丞のまま、あのセリフを言ってしまうと、本当に家族のつながりがただ希薄だったというふうに伝わりかねないと思いました。もちろん親子の愛が全くなかったわけではないけれど、ただこういう時代に生まれてしまったからこそ、三之丞もこうなってしまったし、結果として親子のすれ違いも生まれてしまった。そこを見せないといけない、という思いでした」

――「どうして愛してくれなかったんだ!」とクレーム的に言うのではなく、本当に子供の気持ちとして両親に伝えたかったということですか?
「そうですね。三之丞も父上と母上のことが好きだからこそ、あえて伝えるという、そんなセリフにしたかった。『ちゃんと愛はあったんだよ』というところを見せたいと思いました。あのセリフを言う前にワンクッションを置いて、父と目線を合わせて、そばにいる母親のタエにも語りかけているわけで...」
――その三之丞の言葉に対し、お父さん(傳)から「何バカなことを言っているんだ」と返されて、顔を触ってもらっていましたが、それで三之丞の気持ちは救われたのでしょうか?
「そこは現場で、堤さんが『三之丞がああいうふうにセリフを言うのであれば、俺もこういう芝居にするね』とおっしゃって、そういうやり取りになりました。父の傳は具合が悪くて力が入りにくい中で、手を伸ばしてくれて...。そんな堤さんを見ると、そこでやっと家族3人が一つの線で結ばれた感覚があって、悲しくもありながら、ちょっとした温かさもありながらという感覚でした」
――主人公・トキ役の高石あかりさんの演技についてはいかがでしょうか? そのシーンでは、トキは三之丞から養女だということをバラされてしまうわけですよね
「高石さんの演技は絶妙でしたね。もちろん、トキは養女だと言われたことに対してショックを受けているのですが、彼女なりにずっと『私は養女なのでは...』とは考えてきたわけで、それを改めて言葉として投げかけられるというところでの気迫、凄みのようなものがありました。高石さんは目の印象がとても強い人なので、あの場面では直接対峙して感じることができました」


――そもそも三之丞を演じるにあたり、父・傳役の堤真一さん、母・タエ役の北川景子さんが両親役と聞いたときはどう思いましたか? またこの2人から生まれた子供ということで意識されたことはありますか?
「親子役が決まったときは、とてもうれしかったです。北川さんとの共演は3回目で、大河ドラマ『どうする家康』ではほとんど一緒のシーンがなかったですが、映画『約束のネバーランド』(2020年)では北川さんが『ママ』役でした。堤さんも昨年、映画でご一緒する機会があり、もちろん出演されている作品もたくさん拝見していました。お2人の子というのを強く意識したことはないけれど、第2週で三之丞が初登場したとき、『北川さんと板垣さんは、顔のパーツの配置や比率が同じ』という感想を頂いて、親子に見えて良かったなと思いましたね』
――堤さん、北川さんとの現場での印象的なエピソードを教えてください
「家での立場が弱かった三之丞は、父親と一緒にいてもなかなか目が合わない。だから堤さんとはあえて仲良く話しすぎないようにしていました。それが、親子の絶妙な関係やすれ違いといった空気感を生んだのかなと思っています。一方、北川さんとは今も一緒に撮影していて、仲良く、楽しく過ごしていますね。雨清水家に残った母子ということで、2人のシーンも多いので、最近見た作品の話をしたり...。北川さんは、僕が(松野司之介役の)岡部たかしさんと一緒に出たドラマ『しあわせな結婚』(2025年)を見てくれたということで、それもうれしかったです」
――今後、三之丞は成長していく様が見られますか? 当主としての自覚が芽生えるなど、変化していくのでしょうか?
「三之丞は母のタエと一緒に歩んでいくわけですが、やっぱり家柄が家柄ですし、2人とも恵まれた環境で育ってきたからこその未熟な部分があって、それを母子が彼らなりに消化できるか、ですよね。それで果たして雨清水家は強く復活するのか、没落を受容する方に行くのか、または全て手放すのか。その揺れる波みたいなものを表現したいと思っています。そこは現場で北川さんとも話し合いしながら作っています」
――今後の展開で、三之丞として見せていきたいところ、注目してほしいところは?
「きっと、三之丞は今後もずっと『かわいそう』と思われるのではないでしょうか(笑)。でも、何もできないなりに、厳しい毎日である今日を、明日を、その先をどういう風に生きていこうかと考え、とにかく必死に強くあろうとしています。そんな三之丞の強くあろうとする様(さま)、けなげさみたいなものを見せられたらいいですね。このドラマの中心には松野家のユーモラスな空気がありますが、雨清水家はそれとはちょっとトーンが違う。その明暗が今後いっそうはっきりしてくると思うので、そこを見ていただきたいと思います」
取材・文=小田慶子
放送情報
連続テレビ小説「ばけばけ」
毎週(月)〜(土)8:00〜 ※(土)は一週間の振り返り
チャンネル: NHK総合ほか
出演=高石あかり、トミー・バストウ/吉沢亮ほか
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