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唐沢寿明、後輩へのアドバイスを「ちょっとしたヒントで変わる人は変わる」と振り返り、ドラマ「コーチ」で若手俳優の躍動に期待

2025.10.16(木)

ドラマ9「コーチ」で主演を務める唐沢寿明
ドラマ9「コーチ」で主演を務める唐沢寿明

堂場瞬一による警察小説「コーチ」を原作とし、唐沢寿明が主演を務めるドラマ9「コーチ」が10月17日(金)からテレ東でスタートする。

唐沢演じる、警視庁人事二課所属の一見「冴えないおじさん」の向井光太郎が、捜査に失敗して行き詰まり逃げ出したくなっている若手刑事たちを「コーチ」し、魔法のように彼らの潜在能力を引き出していく。そして、苦境を乗り越えた若手刑事たちはやがて結集して大きな事件に立ち向かい、向井の衝撃的な過去も交錯し、物語は予想外の展開に進んでいく。

若手刑事には、倉科カナ、犬飼貴丈、関口メンディー、阿久津仁愛、そして彼らを取り巻く警視庁メンバーには古田新太、木村多江が名を連ねる。

刑事としてだけではなく、人間としても成長させていく姿を描いた異色の警察ドラマとなっている。今回、唐沢にインタビューを行い、役作りやドラマの見どころに加え、タイトルにもなっている「コーチ」にまつわるエピソードを伺った。

今回の「冴えないおじさん」キャラの風貌は唐沢寿明のアイデアが!
本人だと気付かれない!?「冴えないおじさん」キャラの風貌は唐沢寿明のアイデアが

(C)コーチ製作委員会

――今回演じる、向井光太郎をどのような人物だと捉えていらっしゃいますか?

「今まで演じてきた役ともちょっと違うタイプのキャラクターです。飄々とした感じがありつつも自分の考えをしっかり持っていてブレない人物ですね。ドラマのタイトルが『コーチ』ですが、若手に『これをやれ』とか『あれをしろ』という風に指示するわけではありません。ちゃんと自分たちで考えさせて、それを成功体験にしていくといった教え方をしています。やっぱり自分で考えないと自分のものにはならないですからね」

――確かに言われたことをするだけで、自分で考えたりしないと成功体験にならないですし、達成感もないですからね

「はい。そういうことによって自分が生まれ変わるというか、変えることができると思います。ですので、このドラマはスポ根みたいな感じではなくて、人間ドラマもしっかり入っている感じの内容になっています」

――向井光太郎は、一見「冴えないおじさん」ですが、その風貌、見た目は唐沢さんご自身が考えられたのですか?

「そうですね。ただ風貌を変えているだけではダメだと思っていて、本当にその人に見えなきゃいけないので、こういうのを真剣に考えるのは楽しいんです。この身なりで『向井』になるので、これで外を歩いても誰も気付かないですよ。だから、これはこれで成功かなって」

ドラマ9「コーチ」
ドラマ9「コーチ」

(C)コーチ製作委員会

――唐沢さんご自身は、若手の俳優の方にアドバイスをしたり、何か教えたりされますか?

「目に入れば何かしら言ったりしますよ。以前、ドラマの打ち上げの時に違う事務所の俳優さんのマネージャーに『すみません。よろしくお願いします』って言われて、『こうしたほうがいいんじゃない』と話をしてみました。それをやるようになったら、急にその子がいろんなところに出るようになりましたね。ちょっとしたヒントを得るだけで変われる人は変われると思います。今回のドラマも若手刑事それぞれがメインを務める回があります。ドラマ自体は僕が主演ですが、毎話、若い子たちが主演みたいなものなので、心して自分のものにしていけば、未来が開けていくのではないかなって思いますね」

――逆に、唐沢さんが先輩俳優の方などから教えられた経験はありますか?

「ありますね。いろんな人に助けられましたよ。今のプロダクションに入る前の舞台制作の事務所の社長からは、演技以前のこともたくさん教えてもらいました。20代前半の頃はテーブルマナーとか全然知らなくて。ナイフとフォークの使い方も分からなかったし、フィンガーボールの水を飲んでしまって『やめなさい』って言われたり(笑)」

――そういうとことも教わったりされたんですね(笑)

「そうそう(笑)。でも、演技に関しては人のものを見て育つしかないかと思います。これはオリンピック選手とかと同じで、100メートルを9秒台で走る人がいたとしたら、その人は生まれながらにいい筋肉で生まれてきていますよね。かけっこしたら誰よりも早くて、それに誰かが目をつけてプロへ育て上げるわけじゃないですか。僕らの業界も一緒で、出来る人は最初から出来るんですよ。日常生活で会話している時に棒読みの人っていないですよね?なのに、演技をしていると棒読みの人がいるじゃない。それは(俳優に)向いてないんですよ。人生経験が足りないか、才能がないか。だからすごく残酷なんです、芸能界は」

――唐沢さんが、自分は役者に向いているって思われた瞬間は?

「それは自分で思い込むことですよ(笑)。ずっと思い込んできています。でも、全然違う事務所の社長とかから『あなた、蜷川(幸雄)さんとやりなさい』とか『野田秀樹さんとやりなさい』と言ってくれたりすることがありました。振り返ってみたら自分の経験というかキャリアとして重要だったのは、そういう人に出会えたことなのではないのかなって。すごい人に出会ったことに気付くかどうかも大きいと思います。気付かずに『ただの知り合い』で終わる人もいれば、『これは何か意味がある』って思う人もいるわけですよね。何か声が掛かった時は、チャンスだって思うことも重要だと思います」

――まさに「コーチ」も、若手刑事たちが向井光太郎と出会って、そこから何かを得て変わっていくという感じだと思いますが、本作の見どころは?

「各話にメインで登場する若手刑事たちの成長と変化ですよね。刑事ものですが、上の者が若手を引き連れて事件を解決しにいくっていう感じではないのがいいんです。今までの刑事ものとは違う、大人っぽい感じ。華々しくはないけど、いい話ですよ。撮影する前に脚本を読んでいる時にも『うわぁ、いい話だなぁ』って思いましたし、こういう本(脚本)だと救われる感じがします。楽しみにしていてください」

取材・文=田中隆信

放送情報

ドラマ9「コーチ」
放送日時: 2025年10月17日(金)21:00~
※毎週(金)21:00放送
チャンネル: テレ東系
出演=唐沢寿明、倉科カナ、犬飼貴丈、関口メンディー、阿久津仁愛/古田新太、木村多江