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『A3!』田丸篤志ら冬組キャストと観客が一体となった単独イベント「MANKAIカンパニー presents Winter Party! 2025」

2025.10.9(木)

2025年9月6日に千葉県松戸市・森のホール21 大ホールにて、『A3!』冬組キャストによる単独イベント「MANKAIカンパニー presents "Winter Party!" 2025」マチネ(昼の部)が開催された。

春・夏・秋と続いてきたファンミーティング形式のシリーズを締めくくるラスト公演。月岡紬役の田丸篤志、高遠丞役の佐藤拓也、御影密役の寺島惇太、有栖川誉役の豊永利行、雪白東役の柿原徹也、ガイ役の日野聡が勢揃いし、トークやゲーム、朗読劇、ライブまで、多彩なプログラムで観客を魅了した。

「MANKAIカンパニー presents
「MANKAIカンパニー presents "Winter Party!" 2025」より

開演と同時に幕を開けたのは、冬組らしい朗読劇だった。キャストたちはそれぞれのキャラクターになりきって、心地いい掛け合いを展開。豊永演じる詩人・有栖川の「ジュネーブのビオトープに!」というユニークな掛け声に、「シルブプレ!」と客席が一斉に応えると、会場には笑い声と拍手が広がった。最後に全員で揃えたオープニングコールで空気は一層温まり、まさに"ここから一緒に始めよう"という気持ちを共有する瞬間だった。観客としても、冒頭から心が解きほぐされていくような感覚があった。

オープニングトーク「冬組公演トークショー!」では、田丸の進行で各キャストが"好きな冬組の公演曲"を発表。日野が新生冬組第七回公演『ホテルコンパス』の「グラン・ステイの続きを」と新生冬組第十回公演『Nomadic Bartender』の「STRAIGHT, NO CHASER」を選び、柿原は新生冬組第三回公演『真夜中の住人』から「正体」、豊永は3作品から「esの憂鬱」「STEP」「双刃の誓い」を次々と挙げ、作品ごとに違う世界観への愛情を示した。寺島は新生冬組第九回公演『陽だまりのブラン』の「Bouquet」を優しい声色で語り、佐藤は新生冬組第五回公演『剣に死す。』から「獨行道」を力強く紹介。そして田丸は新生冬組旗揚げ公演『天使を憐れむ歌。』の「Don't cry...」と新生冬組第四回公演『怪人Fと嘆きのオペラ』の「UNMASK」を取り上げた。

思い出深い楽曲を語る彼らの表情には、それぞれの役と過ごしてきた年月が映っていたように思う。客席から曲名が出るたびに拍手が沸き起こり、「あのシーンを思い出した」と観客の心が一斉に動いたのが伝わってきた。

続く「真のジェントルマンのためのエレガントテストParty!」は、AとBの二択から"エレガント"な方を見極める格付けチェック形式。観客も札を掲げて参加できるのが面白い。さらに春組リーダー・佐久間咲也役の酒井広大がサプライズ登場すると、会場は大歓声に包まれた。

最初のお題「生け花」では柿原・寺島・田丸が挑戦し、柿原だけが熟考の末に不正解を選ぶ波乱のスタート。次の「プロテイン」では日野・豊永・佐藤が参加。特に筋トレ好きの佐藤が自信満々で挑む姿が印象的だったが、全員が選んだAが外れ、正解はB。客席からは大きな笑いが起こった。3問目「衣装の生地」では全員が正解し、思わずこちらも胸をなで下ろした。そして恒例の「ポエム」対決は豊永だけが正解を射止め、得意げなガッツポーズに仲間がツッコミを入れる姿まで含めて、冬組らしい軽快さが滲んでいた。このコーナーを見ていると、6人の個性がぶつかり合いながらも、どこかで必ず笑いに落ち着く"家族感"のような空気を改めて感じた。

朗読劇では「MANKAIファンレター」と「冬組メンバー推しポイント」コーナー宛てに、事前に寄せられたお便りをキャラクターが読み上げる。書かれていたのは、公演で勇気をもらったエピソードや、キャラクターの台詞に救われたという声。その言葉を受けたキャラクターの感謝の声に、観客の心も静かに寄り添っていった。朗読劇を聴きながら、ファンと作品が築いてきた時間の厚みを実感した。単なるイベント企画を超え、キャストと観客が共に歩んできた道のりを再確認するような温かい時間だった。

終盤のライブパートでは、冬組を象徴する公演曲が次々と披露された。まずは第三回公演曲「正体」。柿原と佐藤がステージに立つと、空気が一変する。柿原の鋭く突き刺さるような声と、佐藤の低音が持つ重厚さが絡み合い、まるで物語の暗がりを切り裂くような緊張感を生み出していた。観客の視線も一瞬で引き寄せられ、二人の声のコントラストが鮮烈に響いた。

続いては第二回公演曲「esの憂鬱」。豊永と寺島が柔らかく、しかしどこか翳りを帯びたトーンで歌い出す。豊永の滑らかなフレーズと、寺島の繊細で切実な歌声が重なり、楽曲に潜む"憂鬱"の温度を観客に伝えていく。二人が互いに呼吸を合わせながら感情を積み上げていく様子に、会場はしんと静まり返り、物語世界に深く引き込まれていった。

そして第四回公演曲「UNMASK」。田丸と日野がタッグを組むと、舞台の空気は一気にドラマティックに変わる。田丸の伸びやかな高音が感情を解き放ち、日野の力強い声がそれを包み込むように響く。仮面を剥がし、内に秘めた真実をさらけ出すかのような二人の歌唱は、観客に強烈な余韻を残した。日野は「思い出深い曲だったので、こうして皆さまの前で披露できて嬉しかったです」と感慨深げに語り、田丸も「久しぶりに同じ曲を歌わせていただけて嬉しかったです」と笑顔を見せた。

そしてラストは、冬組6人全員による新ユニットテーマ曲「むつのはな」。6人の声が重なった瞬間、客席の熱気はさらに高まり、まるで冬組の未来を照らすような力強さを放っていた。新曲を初めて耳にしたときの高揚感と余韻は、今も鮮やかに残っている。さらに最後には、進行を務めてきた田丸が「ブルブル......ブルーミング!」の掛け声を言おうとして噛んでしまうハプニングも。すかさず5人から「ちょいちょいちょい!」と総ツッコミが入り、会場は笑いに包まれて幕を閉じた。

今回の昼公演は、各組単独公演のラストにふさわしく、冬組の魅力を凝縮した時間だった。笑い、感動、迫力。すべてが揃っていながら、それらを繋げていたのは6人のキャストと観客が共有した"絆"だったように思う。

なお、この模様はTBSチャンネル1にて11月16日(日)にテレビ初放送される予定だ。会場で味わった熱気や感動をもう一度振り返りたい人も、当日足を運べなかった人も、ぜひその瞬間を体感してほしい。

取材・文=川崎龍也

公演情報【スカパー!】

「MANKAIカンパニー presents “Winter Party!” 2025」
放送日時:2025年11月16日(日)
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画