高石あかり、『ばけばけ』モデルとなった小泉八雲・セツ夫婦に感銘「世界一のママさんと呼ばれ、素直に愛情を受け止める2人の関係性がすごく好きです!」
2025.10.4(土)

2025年9月29日スタートにスタートした、連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)でヒロイン・松野トキを演じる高石あかり(※「高」は正しくは「はしごだか」)。同作は明治時代にヨーロッパから日本に来て帰化し、『怪談』などの本を書いた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻・セツをモデルにした物語で、レフカダ・ヘブン役のイギリス人俳優トミー・バストウと組み、西洋と東洋の違いを超えて心を通わせる夫婦を演じる。
幼い頃から「朝ドラのヒロインになるのが夢だった」と語る高石が、役柄へのアプローチや撮影現場でのエピソードなどを語ってくれた。

――『ばけばけ』のヒロイン、松野トキ役に決まったときの率直な気持ちを教えてください
「小さい頃から朝ドラのヒロインになることは、私にとって一番の夢でした。俳優としてのキャリアで重要というよりも、純粋に『高石あかり』としての夢だったんです。だから出演が決まったと聞いた瞬間は、もう言葉にならないくらいうれしくて...、胸がいっぱいになりました。撮影が始まって5ケ月経った今でも夢のようで、たぶん、私にとって朝ドラは今後も夢であり続けると思います」
――朝ドラヒロインのどんなところが好きだったのですか?
「どのヒロインも壁にぶつかって、そこから未来を切り開いていく姿がすごく素敵だなと思っていました。楽しいことだけじゃなくて、つらさや苦しさもちゃんと描かれていて、その中で前を向いて進んでいく姿にいつも勇気をもらっていました。今回の『ばけばけ』でも、そういうトキの前向きなところを感じていただけたら、うれしいです」
――トキは、明治時代に小泉八雲と国際結婚した小泉セツがモデルですね
「小泉八雲さんについての資料はたくさんあるのですが、セツさんのことはあまり記録に残されていないんです。だからこそ私はセツさんが語り下ろした『思い出の記』という本をとても大切にしました。そこにはセツさんの視点から見た八雲さんが描かれていて、夫に対してどんな気持ちを抱いていたのか、どう支えていたのかが伝わってきます。八雲さんが亡くなったときの気持ちとか、とてもリアルなんですよね。この記録を通して少しずつセツさんの人柄を知っていきました」


――セツはどんな女性だったと思いますか?
「自由で正義感の強い八雲さんに寄り添い、愛情を持って守ろうとしたセツさんの強さには憧れます。私が演じるトキも『人は人、自分は自分』と考えられる人で、相手を尊重する強さと同時に自分を守る強さを持っています。ご夫婦としては、お互いに相手のことが大好きで、八雲さんがセツさんを『世界一のママさん』と呼んで素直に愛情を伝え、それを受け止めるセツさんという関係性が、すごく好きです」
――セツが少女時代を過ごした明治維新の頃は、武士の世が終わり、没落士族である小泉家は貧しくて苦しかった。ドラマでも、トキの育った松野家は厳しい状況に陥りますね
「そうですね。トキは織物工場で働いて両親たちを助けないといけない。目の前にある仕事をただやるしかないという状況になります。トキと私は似ているので、トキの困った状況が自分に降りかかっているような感覚で、演じながら『とにかく生きていかなきゃ!』と思います。これまで演じてきた役はある程度距離があったのですが、今回は役と自分が近すぎて、だからこそ生々しい感情をお届けできるかもしれません」
――トキと自分の共通点はどんなところですか?
「松野家にとっては『うらめしい』日々が続くわけですが、それでも笑い合いながら暮らしていく...。私も子どもの頃から楽観的で、たとえ壁にぶち当たっていたとしても、その経験を自分にとっていいことだと考えるところでしょうか」

――夫となるヘブン役のトミー・バストウ(『SHOGUN 将軍』アルヴィト司祭役)さんは、日本のドラマに出るのは初めてですね。どのようにしてコミュニケーションを取っていますか?
「トミーさんのことは、これまで一緒に撮影する中で少しずつ知っていきましたが、日本への愛情がとても深い方だと実感しています。10年間独学で日本語を勉強されていて、撮影の合間も勉強を続けている。その姿勢は尊敬しますし、小泉八雲さんに重なる部分でもあります」
――これまでの撮影現場で印象に残っている出来事はありますか?
「野外で撮影中、大きなアブが現れたことがあって(笑)。私が正座している周りをぐるぐる飛んでいたのですが、そのときトミーさんが一生懸命、私を守るようにアブと戦ってくださったんです。頼もしくて、かっこいいなと感じました。トミーさんはビーフジャーキーが大好物ですが、食べるときは必ず『どうぞ』とおすそ分けしてくれます。そういう気遣いが素敵で、現場の空気をより温かくしてくれていると思います」


――第1週はトキの子ども時代が展開し、子役の福地美晴さんがトキを演じますが、第1話の冒頭では大人になって結婚したトキとヘブンが登場しました。ちょっとしたキスシーンもありましたね
「台本では手にキスすると書かれていたんです。でも当日、監督やトミーさんと話し合って、ちょっと違った形になりました。結婚したトキとヘブンが、言葉は完全に通じないながらも心でつながっていく姿を表すには、それが一番自然で温かい表現ではと...。冒頭、夫婦で語り合うシーンは、実はオーディションの最終審査でも演じた場面。そのときの記憶が蘇って、本番では感情があふれました」
――トキは怪談が好きで、悲しいことがあると、母親に怪談を話してと頼みます。また、小泉八雲といえば「耳なし芳一」が代表作ですが、高石さんは怪談はお好きですか?
「好きです。八雲さんの描く怪談は怖さだけじゃなく、人の欲や愛情、複雑な感情が織り込まれていて、物語としての深みがあります。例えば『雪女』はもちろん、『おしどり』という作品もすごく好きで、ただの怪談ではなく、人間の心の奥にあるものを見せてくれる気がします」

――トキは怪談を聞いて元気を取り戻しますが、高石さんの場合はいかかですか?
「私は食べることですね(笑)。ご飯やスイーツを食べると体力も心も回復します。撮影が長丁場でも『今日はご褒美にこれを食べよう』と思えるだけで、気持ちがぐっと前向きになれます」
――小泉八雲とセツが100年以上前に果たした異文化理解の架け橋という役割を、ドラマでどう表現しようと思われますか?
「トキとヘブンさんが出会い、育った国の文化の違いとか、もちろん言語が違うということでの難しさは、たくさん出てくるでしょう。でも、それをはるかに超える驚きや通じ合った時のうれしさ、知らない文化を知る楽しさなどが待っているのでは...。撮影で、夫婦生活のシーンが始まっているので、今後の撮影もすごく楽しみです」

撮影=大川晋児 取材・文=小田慶子 スタイリスト=金田健志 ヘアメーク=坂本志穂
放送情報
連続テレビ小説「ばけばけ」
放送日時: 2025年10月6日(月)8:00ほか~
毎週(月)~(土) ※(土)は一週間の振り返り
チャンネル: NHK総合ほか
出演=高石あかり、トミー・バストウ/吉沢亮ほか
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