岡田将生の虚しさを帯びた雰囲気が絶妙!「アフター・ザ・クエイク」で体現する村上春樹的主人公像
2025.9.30(火)
8月15日の誕生日で36歳を迎えた岡田将生。プライベートでの充実ぶりを感じさせるが、仕事の面でも細田守監督の「果てしなきスカーレット」(11月21日公開)で長編アニメーションの声優に初挑戦するなど、話題作が相次ぐ順風満帆なキャリアを邁進中だ。
そんな岡田の俳優人生の大きな転機となった1作といえば、衝動を抑えられない若手俳優を怪演した「ドライブ・マイ・カー」(2021年)だろう。アカデミー賞国際長編映画賞を受賞するなど世界的に高く評価されたこの傑作と同じく、原作・村上春樹×脚本・大江崇允という座組で期待を集めているのが、10月3日(金)公開される「アフター・ザ・クエイク」だ。
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
原作は、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件など社会を揺るがす出来事が相次いだ1995年を舞台にした連作短編集「神の子どもたちはみな踊る」。1995年から2025年の"今"に至る物語へとアレンジした全4話のドラマ「地震のあとで」(2025年)としてもNHKで放送され、ギャラクシー賞を受賞するなど話題に。このドラマ版に4つの時代をつなぐ新たなシーンを追加・再編集し、1本の映画としたものが「アフター・ザ・クエイク」だ。
タイトルの通り、阪神・淡路大震災後の30年間を4つの物語で描いた本作。その起点となる、ドラマ「UFOが釧路に降りる」として放送された1995年パートの主人公・小村を岡田が演じている。
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
東京で暮らす小村は、数日前に起きた大震災の被害を伝えるテレビを、ろくに食事も睡眠もせずに静かに眺め続ける妻・未名(橋本愛)の様子を心配していた。ある日、「2度と戻ることはない」という置き手紙を残し、妻が家を出ていってしまう。
失意に暮れる中、同僚の佐々木(泉澤祐希)からある"箱"を妹・ケイコ(北香那)の元へ届けるように頼まれた小村は、釧路へと足を運び、ケイコとその友人・シマオ(唐田エリカ)と奇妙な旅をすることに。
中身の分からない小さな箱や不気味な雰囲気の同僚、妹、友人...。彼女たちから語られるUFOについての話など、様々な考察ができる難解な物語として、このエピソードはドラマ放送時に大きな反響を呼んだ。その主人公・小村は、不可思議な状況に戸惑いながらも、流され続ける"中身のない"人間として描かれている。
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
村上作品の主人公といえば、人や社会との関わりを避ける、自己完結した孤独な人物が多いが、本作の小村も妻から「優しくて親切だけど、空気のかたまりと一緒に暮らしているみたい」と喩えられるように、社会や人を俯瞰的に眺めているような印象を覚える男だ。
理不尽に対してどうすればいいのか分からずにただ翻弄される様子など、岡田は抑制の効いた演技でキャラクターの閉じた人間性、空虚さを表現。感情を微かに顔に出しながらも、それでもどこか他人事といったような淡々としたが佇まいが絶妙で、岡田の掴みどころのなさも相まったハマり役と思える。
インタビューで「撮影が終わったにもかかわらず僕もまだすべてを理解できていない」と語っていた岡田だが、その戸惑いのようなものを演技に反映されており、自分の置かれている状況が理解できない小村の虚しい人物像に不思議と説得力をもたらしている。
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
鳴海唯、堤真一の共演で、家で女性と焚き火が趣味の職業不詳の男との海辺での交流を描いた2011年。カルト宗教を信奉する母子家庭で"神の子ども"として育てられた青年、父と思しき男を追いかけていく様を渡辺大知主演で描いた2020年。そして佐藤浩市扮する漫画喫茶暮らしの警備員が、巨大な蛙の姿をした"かえるくん"と、地震から東京を救おうとする2025年...と、「アフター・ザ・クエイク」は豪華俳優陣の共演で難解な物語が映像化されている。
試行錯誤を繰り返した俳優たちの熱演や原作からの大胆なアレンジによって浮かび上がる、ファンタジーとリアリティの狭間のような村上春樹ワールド。作品が何を描いているのか、深く考えたくなるような魅力を味わいたい。
(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
文=HOMINIS編集部
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