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福士蒼汰、底なしの演技力で3つの顔を演じ分ける!山下美月共演で詐欺加害者専門の悪徳弁護士を演じた「弁護士ソドム」

2025.9.25(木)

「弁護士ソドム」(ファミリー劇場)
「弁護士ソドム」(ファミリー劇場)

昨年、映画「湖の女たち」では、歪んだ支配欲に惑溺してしまう若い刑事を演じ、WOWOW開局30周年を記念したプロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム4」では、出演・脚本・監督を務めるなど、新しい才能を開花させながら進化を続けている俳優・福士蒼汰。特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」(2011年、テレビ朝日系)で一躍全国区となってから、さまざまな役を経て俳優としての確固たるポジションを確立した福士の、更なる進化に驚かされ、今後の進化にも大きな期待を抱いたファンも多いのではないだろうか。

そんな福士の演技の引き出しの多さと深さが堪能できる作品がドラマ「弁護士ソドム」(2023年、テレ東系)だ。

福士蒼汰が詐欺加害者専門の悪徳弁護士を演じた「弁護士ソドム」
福士蒼汰が詐欺加害者専門の悪徳弁護士を演じた「弁護士ソドム」

(C)テレビ東京

同作は、だまされた被害者ではなく、だました側の詐欺加害者に味方する「法曹界のソドム」と呼ばれる型破りな"詐欺加害者専門弁護士"の活躍を描くリーガルサスペンス。福士は初の弁護士役に挑戦している。

詐欺加害者専門の弁護士・小田切渉(福士)は、金にならない仕事は全く引き受けず、刑事弁護を「もうからない仕事」とけなして、民事弁護を中心に活動している。だました側に味方する彼の人道にもとるやり方や強引な手法・拝金主義から、法曹界では悪徳弁護士、別名「ソドム」という忌まわしい名前で呼ばれていた。一方、正義感の強い人権派の町の弁護士・若松まどか(玄理)は、マッチングアプリで結婚詐欺に遭った友人の弁護で、渉と争訟することになる...。

■主人公の3つの顔を見事に演じ分けた福士蒼汰の演技が圧巻!

(C)テレビ東京

この作品で、福士は渉という1人の人物でありながら、「世間のイメージする悪徳弁護士の顔」「詐欺師を裏で成敗するダークヒーローの顔」「詐欺加害者に味方するきっかけとなった母の死の真相を追う息子の顔」という3つの顔を演じ分けている。しかも、この"演じ分け"は、劇中劇のような役が別のキャラクターを演じているという芝居とは異なり、根っこは"渉"でありながら相対する人によって見せる顔が変わるというもので、しっかりとした役作りができていないと実演できない難しい役どころ。それを福士はさらりとこなしている。

"世間的な悪者が裏では正義の味方だった"という二面まではよく見るかもしれないが、そうなってしまった原因から続く"ストーリーの縦軸"となる"本当の渉"も顔を出すという要素が加わっている。そのために演じる難易度は何倍にも跳ね上がっているのだが、それらを視聴者に伝わるレベルできっちりと演じ分けているところに、福士の演技の引き出しの多さと深さを感じることができる。

しかも、特筆すべきはこの3つの顔が、話が進むにつれて混じり合っていく点だ。最初はしっかりとした"演じ分け"で見せて、視聴者を作品の世界に誘引。その後、詐欺加害者に味方する理由と目的が明かされていくにつれて"ストーリーの縦軸"が展開されていくと、視聴者の視点を「悪徳弁護士」→「ダークヒーロー」→「母の事件の真相を追う純粋な息子」と変わっていくように暗に誘導している。これは、福士が視聴者に開示された情報に合わせて「悪徳弁護士にもダークヒーローにも見える」「ダークヒーローだが純粋な息子にも見える」といった"切り替わっていない瞬間"も見せることで、作為的にグラデーションを作り出して実現させている。これも、役の根っこの部分に基礎となる渉の人物像を形成できているからこそ成せる技だ。

そんな中で、詐欺師たちを成敗するチームの一員である三木天音を演じる山下美月の熱演も必見。詐欺師たちに近づくためにさまざまなキャラクターに成り済まして情報を得ていく役どころなのだが、セクシーな美女や老婆、中年女性、看護師...と、さまざまな役柄に変化しており、こちらは全く別のキャラクターに扮する"演じ分け"を楽しませてくれる。

福士と山下の"演じ分け"の違いも楽しみながら、福士が渉役で見せる底なしの演技力に注目してほしい。

文=原田健

放送情報【スカパー!】

弁護士ソドム 一挙放送
放送日時:2025年10月19日(日)20:30~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:福士蒼汰 玄理 加藤清史郎 山下美月 古川雄輝 でんでん 高岡早紀 勝村政信 光石研