宮野真守「自分にできることを一生懸命やっているだけ」"憧れられる存在"としてのX役への向き合い方
2025.9.25(木)

フジテレビほかで朝9:30より放送されているTVアニメ『TO BE HERO X』は、"ヒーローの信頼が数値化される世界"を舞台に、多彩なヒーローたちが己の正義と信念をかけて戦う、bilibiliとアニプレックスによる新たなアニメーションプロジェクト。斬新なビジュアルと現代社会を映すテーマ性を併せ持つ注目作だ。
本作で、ヒーローランキングの頂点に立つ"謎の男X"を演じるのが宮野真守。最後まで目的が明かされない存在に、どのようにして声を吹き込んでいったのか。収録現場で感じた手応えや共演者とのエピソード、さらには「自分にとってのヒーロー像」を語ってもらった。

――今回の『TO BE HERO X』において、宮野さんが感じられた一番の見どころはどんなところでしょうか?
「やはり日本のアニメーションとは違うアプローチがされていて、非常に個性的で面白いところだと思います。映像表現や音楽の使い方も含めて独特な世界観があって、とてもおしゃれで素敵だなと感じました。いわゆるBGMというよりは、一曲一曲が"楽曲"として存在しているといいますか、その使い方が面白いなと思いましたね」
――映像表現に続いて、世界観やシナリオについての魅力はいかがですか?
「"ヒーローが信頼値を得る""誰でもヒーローになれる"という設定は新しいと思いました。SNSがこれだけ普及している社会をうまく取り入れているんですよね。現実でもSNSの反響や反応に人は左右されていて、それをヒーローの力に置き換えている。作中でも誰でもヒーローになれる可能性があるというのは、今の世の中で"誰がインフルエンサーになるかわからない"という状況とうまくリンクしていると感じました」
――放送を見ていると「ついにXの回が来た」という印象ですが、ここまで振り返ってどんなお気持ちですか?
「これまでそれぞれのキャラクターが順にフィーチャーされていって、ようやく最終回でXがメインになる回がやってくる。そういう意味では「やっとだな」という感じはありますね」

――ヒーローランキングの頂点に君臨する"X"についての印象や魅力はどう感じられましたか?
「彼については、僕も視聴者と同じくらいの情報しか持っていなくて。収録のときに制作陣に聞いてもわかりませんと言われました(笑)。なので、発言は難しいのですが、それを踏まえて言うと、僕自身は彼の行動理由をしっかり想像しながら演じていましたね。その上で、彼にはきっと強い信念があるのだろうと感じています。ただ一つ言えるのは、彼の行動の断片を見ても、強い意思を持って動いているということ。その点は僕自身も大切にしながら臨んでいました」
――Xはとても奥深いキャラクターですよね
「彼の本意がどこにあるのかはわかりません。もしかするとそれは本人の意思というよりも、課せられた運命として受け止めているのかもしれない。それでも逃げず、口では嫌がりながらも未来に向かっていくXの存在は、とても面白いキャラクターだと思いました」
――アフレコ現場で印象的だったエピソードはありますか?
「山寺宏一さんは本当に"犬が上手い"なと(笑)。この作品はキャストも非常に豪華で、大御所の方々と一緒に芝居ができたのは有意義な経験でした。同時に、内山(昂輝)くんなど若い世代の表現にも大きな刺激を受けましたね。こういう言い方もあれですがやはり実力派が揃うと、一つ一つのシーンに説得力が生まれると実感しました。山寺さんとは近年ご一緒する機会が増えていて、直接言葉はなくとも信頼していただいているのを感じます。この作品の"信頼値"というテーマにもつながりますが、現場での接し方や芝居の中で強くそれを実感できて、とても嬉しかったです」

――誰でもヒーローになれるのがこの世界観の特徴ですが、もし宮野さんがこの世界で生きるとしたら、どんな立場を選びますか?
「難しいですね......。ただ、ナイスがスマイルに憧れたように、僕もきっとそうした存在には憧れたと思います。それがヒーローかどうかは別として、かっこいい存在には子どもの頃から惹かれていましたし、それがやがて夢につながり、目指すようになったんだと思います。今の仕事を志したのと同じように、もしこの世界にいたらヒーローを目指していたかもしれません。一方で、大人になった今の感覚でいうと、自分はXの立場に近いのかもしれないな、と。Xは自分の行動によってヒーローになってしまったと語りますが、その状況を受け入れて前に進む決断をしている。そこに共感する部分は大きいです。彼は口では残業が嫌だとか1位から引退したいと言いつつも、自分の立場を理解し、その責任を果たそうとしている。そうした姿には強く共感しますね」
――宮野さんはこれまでもさまざまなインタビューで「ヒーロー的な存在」として特撮を挙げられています。幼少期から現在まで、そうした"憧れの存在"は常に身近にあったのでしょうか?
「そうですね。僕自身は"テレビっ子"で育ってきたので、テレビに出ているタレントの皆さんが本当にキラキラして見えていました。子どもの頃はただ憧れるだけだったのに、今ではまさか自分がその方々と仕事でご一緒させていただけるなんて思ってもいなかった。もちろんそれは自分が歳を重ねたということでもあるのですが、続けてきてよかったなと、しみじみ思いますね(笑)」
――花江夏樹さんがイベントで宮野さんを"憧れ"と語る場面もありました。ご自身が"憧れられる存在"になったことについてはどう感じていますか?
「嬉しいですよ。ありがたいですし、本当に感謝しています。ただ、僕自身はスマイルのように誰かを育てようという意識より、Xの考え方に近いのかなと思います。自分にできることを一生懸命やっているだけで、その姿を見てくださった方が憧れると言ってくれる。それは本当にありがたいことですし、素直に嬉しいですね」

――本作には個性豊かなヒーローたちが登場しますが、気になるキャラクターや共感する部分はありましたか?
「やはりXの能力ですね。アニメーションの中で表現方法が2Dになったり、3Dになったり、ときにはドット風になったり。その理由については劇中で明言されていませんが、もしかしたらXが引き起こしているのかもしれないと思えるほど自然に映像表現に溶け込んでいました。そう考えると、彼の能力はアニメーションならではの魅力を持っていて、とても面白いなと感じました」
――ヒーローにはしばしば"二面性"が描かれます。Xについてもそうした側面があるのでしょうか?
「どうでしょう。今の段階では、Xは"二面性"というより"本意を隠している"だけなのではないでしょうか。まだ明かされていない部分があるだけで、二つの顔を使い分けているわけではないですよね」
――そしていよいよ最終話"X編"を迎えます。見どころを教えてください
「物語の真相に限りなく迫る回です。そしてそれをX自身が説明することで、彼がどれだけ多くを理解し、考えながら戦っている人物なのかがわかるはずです。ただ、それでも最後まで謎に包まれた部分は残ります。だからこそ、視聴者の皆さんにはこの物語はどういう姿だったのかを想像していただきたいですね。とにかく第24話ではXが本当によく喋ります(笑)。これまで謎めいていた彼がようやく言葉を発するので、ぜひ期待していただければと思います」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
作品情報
TVアニメ『TO BE HERO X』
放送:フジテレビほか、毎週日曜9:30〜
配信:Netflix、Prime Videoほかで毎週月曜12:00〜最速配信中
声の出演者:宮野真守、花澤香菜、内山昂輝、中村悠一、松岡禎丞、佐倉綾音、水瀬いのり、山寺宏一、島﨑信長、花江夏樹ほか
-
松岡美里×内田真礼、「映画プリキュア」で再確認した"推し"の魅力「尊い瞬間はなくならない」
提供元:HOMINIS9/11(木) -
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』楠木ともりが語る、マキマ役を通じて見つめ直した表現の本質「ターニングポイントになったキャラクター」
提供元:HOMINIS9/9(火) -
秋元真夏「プライベートの私がたくさん詰まった一冊」フォトブック『淡淡(あわあわ)』発売記念インタビュー
提供元:HOMINIS8/28(木) -
WHITE SCORPION・ACE×COCO×CHOCO、定期公演#6で新たな挑戦と成長を語る
提供元:HOMINIS9/1(月) -
吹き替え声優に初挑戦の松本若菜が芸能界で生き残る秘けつを告白「あまり気にし過ぎないこと」
提供元:HOMINIS8/24(日)