生田絵梨花、俳優としての現在地を語る 念願の福山雅治との共演は「同じ表現者として学ぶことが多かった」
2025.9.24(水)

ミュージカルから映像作品まで幅広く活躍し、俳優として存在感を高めている生田絵梨花。多彩なジャンルでの挑戦を重ねてきた彼女が、福山雅治主演映画『ブラック・ショーマン』に出演する。原作は東野圭吾による人気小説『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社文庫刊)。マジックとサスペンスが融合した異色のダークミステリーで、生田は物語の重要な鍵を握る池永桃子を演じている。
本作では、元マジシャンという異色の経歴を持つ主人公・神尾武史(福山雅治)と、その姪・真世(有村架純)が家族の死の真相を追う姿が描かれる。現場で体感した"驚き"がスクリーンでさらに増幅される映像表現や、豪華キャストが集結した撮影現場での交流、そして乃木坂46卒業から数年を経ての役者としての変化など、インタビューでは生田が本作への思いとともに、自身の現在地をじっくり語ってくれた。

――『ブラック・ショーマン』は、マジックとサスペンスが融合したこれまでにない世界観が特徴的です。生田さんご自身は脚本を読まれたとき、まずどんな印象を受けられましたか?
「最初に台本を読んだときに『ここでこんなマジックが行われます』と文字で書かれていて、実際にどう実演されるのかがとても気になりましたし、楽しみだなと思って現場に臨みました。現場でも驚きの連続だったのですが、先日試写でスクリーンで観たときには、さらに新鮮な驚きがあって。現場で見ていたはずなのに、映像として完成したものを観ると、まったく違う迫力や緊張感を味わえました。この"現場での驚き"と"スクリーンでの驚き"を二重に体験できるのは、この作品ならではの魅力だと思います」
――特にクライマックスの教室でのシーンは圧巻でした。撮影はいかがでしたか?
「あのシーンは3日間くらいかかりました。福山さんのマジックは基本的にご本人が人力で行っていらっしゃるものが多いのですが、教室の場面は映像との融合もあって迫力がさらに増していました。実際にその場にいても驚きの連続でしたが、試写で完成した映像を観たときには『こんな風に仕上がるんだ』と、参加していた自分まで新鮮な気持ちで楽しんでしまいました」
――キャストの皆さんとの共演はいかがでしたか?
「裏では本当に和気あいあいとした雰囲気でした。架純さんもとても優しく声をかけてくださいますし、福山さんも輪の中に自然に入ってくださって、緊張感がほぐれる時間も多かったです。作品の内容自体はシリアスな部分も多いのですが、現場は温かい空気で包まれていました」
――福山雅治さんとは『ウィッシュ』で共演された際に「実写作品でご一緒したい」とお話しされていたそうですね。実際に今回共演してみての印象や、刺激を受けたことがあれば教えてください
「アフレコのときは別々だったので、今回こうして直接たくさん会話できたのはとても嬉しかったです。福山さんにはスターという絶対的なイメージがあって、最初はどう接していいか戸惑う部分もあったのですが、日常の身近な話題をしてくださることで、少しずつ距離が縮まっていくのを感じられました。ただ、やはり音楽の話になると圧倒的で、改めて尊敬が深まるばかりでした。大きな存在感と身近さ、その両方を兼ね備えた方だと思います」
――音楽という共通点もありますよね
「そうですね。私はまだ始めたばかりの新参者ですが、それでも福山さんの音楽に対する姿勢を聞いていると、自分ももっと頑張りたいと思えるんです。同じフィールドに立てていることが刺激になりましたし、同じ表現者として学ぶことが本当に多かったです」

――生田さんが演じられた池永桃子は神尾真世の親友という立ち位置でした
「傍から見るといい子に見えると思うんですけど、彼女なりに隠していることや、簡単には見せない一面もあって。そういうギャップに人間らしさを感じました。完全に善でも悪でもない、そのあいだで揺れ動いている姿がとてもリアルで、観る人に共感や戸惑いを与える存在になっていると思います。私自身も演じながら桃子の裏側にはまだこんな気持ちがあるのではと想像を広げていくのが楽しかったです」
――今回の作品は"誰が容疑者かわからない"状態からスタートします。演じる上でも、自分が容疑者かもしれないという意識を常に持ちながら臨まれたのでしょうか?
「そこは田中監督がどう見えるかをその都度見てくださって、『もう少し怪しさを出してみようか』といった塩梅を相談しながら演じていました。シーンごとに少しずつ温度感を変えることで、観る人に『もしかしてこの人が犯人なのでは?』と思わせられるように工夫していましたね。自分自身もそのたびに新鮮な気持ちで挑んでいたので、現場での緊張感はすごく刺激的でした」
――今回、田中監督とは『コンフィデンスマンJP』以来のタッグになります。約3年ぶりかと思いますが、現場でのやり取りや印象的なディレクションはありましたか?
「一番大きかったのは、どのくらい怪しく見えるかをその都度話し合いながら撮影したことです。ほんの少しの表情や間の取り方で人物像の印象が大きく変わるので、その微妙なさじ加減を監督と一緒に探っていく作業はとてもやりがいがありました。役の中に潜む"影"の部分を、どの程度出すか引くかを繰り返すことで、作品全体のスリルにつながっていったのだと思います」
――生田さんから見て、田中監督はどんな方ですか?
「すごくユーモアに長けた方で、お話しているだけで自然と笑いがこぼれてしまうんです。だから、シリアスな作品を撮っていても現場の雰囲気はどこか柔らかく、ワクワクした気持ちで臨めました。一方で『こういう感情表現が欲しい』とか『こういう背景を持っていてほしい』と具体的に指示をくださるので、役の軸がとてもクリアになるんです。ユーモアと明確さ、その両方を持ち合わせている方だからこそ、役者としても安心して挑戦できますし、監督が求めているものを少しでも体現したいという気持ちが強くなります。信頼感の大きい監督です」
――今回は和装でのご登場でしたが、近年は大人っぽい役どころが増えている印象があります。ご自身では演じる役については変化を感じますか?
「ここ最近は恋愛ものを通り越して母親役をいただくことが多いなと感じています。今回も結婚して子どもがいる設定でしたし、先生役のときも子どもができるという話があったり、『PICU 小児集中治療室』でも結婚して子どもがいる役でした。そう考えると、意外と恋愛の手前の役柄を演じていないなと気づかされました。演じながら『あ、また母親役だな』と思う瞬間もあります(笑)」
――確かに学生役や結婚前の役はあまりなかったかもしれませんね
「そうなんです。学生でなくてもいいのですが、いわゆる"結婚手前"の物語はこれまでやってきていないので、今後ぜひ挑戦してみたいですね。人生の中でも一番揺れ動く時期だと思うので、その年代ならではの迷いや葛藤を表現できたら、また新しい一面を見せられるのではと感じています」
――ただ、生田さんは落ち着いて見えるので、母親役もすごく自然ですよね
「落ち着いて見えると言っていただけるのは本当にありがたいです。母親役を演じるときも、『実際に子どもを持ったらこう感じるのかな』と想像しながら挑んでいますし、自分に経験がないからこそ役を通してたくさん学べる部分があります。演じることが自分にとっての人生経験のようになっている感覚がありますね」

――乃木坂46時代から拝見していますが、卒業後は大人っぽい役が増えて、まさかこういうキャラクターを演じることになるとは、という驚きもあります
「でも私はあまり方向性を決めすぎず、その作品や役によって自由に変わっていけたらいいなと思っています。今回のように大人っぽい役もあれば、次の作品ではまったく違うキャラクターかもしれない。観る人に『こんな生田絵梨花もあるんだ』と思っていただけるように、縛られずに演じ続けたいです」
――作品では中学時代の同級生が集まるシーンもありました。ご自身は同窓会などに参加されたことはありますか?
「乃木坂46時代と重なっていたので、ほとんど参加できなかったんです。でも今も仲の良い同級生が4人ほどいて、舞台を観に来てくれたり、一緒に写真を見返したりすることがあります。そのたびに『みんな大人になったなあ』と驚かされますし、自分自身の変化にも気づかされます。時間が経っても変わらず応援してくれる存在がいるのは本当にありがたいことだと感じますね」
――生田さんご自身には神尾英一のような恩師の存在はいらっしゃいますか?
「特定の先生というよりは、乃木坂46時代のスタッフさんやメンバーが、私にとっては"出身校の同級生"や"恩師"のような存在です。最近も『頑張ってるね』とか『大人っぽくなったね』と声をかけてもらうと、すごくほっこりして温かい気持ちになりますし、『よし、もっと頑張ろう』と自然に背中を押してもらえる。学生時代の思い出とは少し違いますが、あの時間が自分にとっての青春であり、支えになっていると改めて思います」
――卒業されてからも、メンバーやスタッフの方々と交流する機会はあるんですね
「今は歌番組をやっているので、グループのメンバーが出演してくださるときに会えるんです。そのときに久しぶりにスタッフさんとお話しできたりして、当時の空気感を思い出します。さらに、たまにメンバーとご飯に行くこともあって、その瞬間は一気に時間が巻き戻ったような懐かしさを感じます。笑い合う雰囲気も昔と変わらなくて、あの頃が今につながっているんだなと実感できる時間です」
――最後に、今後俳優として挑戦してみたい役柄やジャンルについて教えてください
「やっぱり結婚手前の役ですね(笑)。学生を卒業してから結婚するまでの、この空白の部分を作品を通してしっかり経験できたらいいなと思っています。人生の中でも揺れ動く時期であり、誰もが共感できる瞬間があると思うので、その複雑な感情を演じてみたいです」
――そこは強い思いとしてありますか?
「お話ししていて改めて気づいたのですが、そういえば演じたことがなかったなと思って。これまで少しスキップしてきた部分を、役を通して体現できる機会があれば嬉しいです。母親役とはまた違ったリアルさや繊細さが求められると思うので、俳優としても挑戦しがいがありますね」
――母親役とはまた違った演技が求められそうですね
「そうですね。それはそれで複雑さもあると思います。役を限定せずに幅広く挑戦して、いろいろな役柄や経験を重ねていきたいです。これからも役を通じて新しい自分を発見していけたらいいですね」

取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
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