「常に自問自答を繰り返すだけ」松坂桃李の期待との向き合い方は?劇場アニメ『ひゃくえむ。』インタビュー
2025.9.18(木)
「チ。―地球の運動について―」で知られる漫画家・魚豊の連載デビュー作「ひゃくえむ。」がアニメーション映画化される。
同作は、陸上競技の世界で「100m」という一瞬の輝きに魅せられた者たちの狂気と情熱を描いたスポーツ漫画。生まれつき足が速く、友達も居場所も当たり前のように手に入れてきたトガシと、つらい現実を忘れるためがむしゃらに走り続けていた転校生の小宮の半生を描いた物語だ。
今回はトガシの声を演じた松坂桃李にインタビュー。本作と絡めた松坂自身の経験についてたっぷりと語ってもらった。
――完成作を見た感想を教えてください
「大興奮でした。アドレナリンがしばらく収まらなかったです。僕自身は100mを走った経験が学校の体育祭ぐらいしかないのですが、とても共感してしまって。どうしてこんなに心打たれるんだろうと思いました。100mのスプリンターたちの懸ける思いは、きっといろんな職種の人たちから共感を得ることができると思います」
――確かに、陸上をやっている人以外にも共感できる内容でしたね
「やったことないのに"わかる"と思うんです(笑)。不思議ですよね」
――特に共感したシーンは?
「とあるシーンで、この競技に"人生なんてくれてやればいい"と言うセリフが出てくるのですが、自分が今、目の前で取り組んでいることや、これから挑戦しようと思っていることに対して、鼓舞してくれるような、メッセージが込められている感じがしました。僕ら役者陣も、リハーサル、テスト、本番を重ねて、現場に入る前の役作りも含めたら何カ月もかけて取り組むのですが、本番はほんの数秒で、その時だけ本物になれればいいと思っているので、一瞬の輝きのために人生を捨ててもいいぐらいの覚悟と気概に、心が打たれたんだと思います」
――では、松坂さんにとっては、走ること=演技をすること、と同じ捉え方をされた?
「仕事柄、そういう風に感じました。"用意、ドン!"からゴールまでのあの一瞬と、監督の"用意、スタート"からカットまでのほんの数秒をリンクさせながら読んでいました」
――松坂さん演じるトガシは、高校生の姿と社会人の姿が登場しますが、声の印象も変えて演じられましたか?
「そうですね。悩みだったり、吹っ切れ方だったり、それによって、声のトーンや張りが場面ごとに変わってきたりするので、都度監督と相談しながら、出来る限り自分の中で表現しました。大人になった時は、ちょっと俯瞰しているような印象が声に反映できればと思いました」
――役については、どう捉えましたか?
「トガシは足が生まれつき速い天才肌ですが、だんだん限界が見えてきて、彼の中で壁にぶち当たって、挫折して、もう一回奮起して...というところに、本人にしか分からない孤独感を感じました。役者という仕事も、現場でいろんな共演者やスタッフさん達と1つの作品を作り上げるために協力しますが、現場が終わったら、また次のところに行って、その方たちとはもうお別れなので。究極、やっぱり1人なんです。その孤独感と近いものが、トガシにはあると思いました。周りから期待されればされるほど、プレッシャーは計り知れないものがあるだろうなと」
――期待との向き合い方とのことですが、松坂さん自身はどういう風に乗り越えられてきましたか?
「プレッシャーと自分との戦いだと思います。自分の中で"よし、頑張ろう!"と心から思える時もあれば、ネガティブになって向き合いきれない自分がいる時もあって、結局自分の敵は大体自分なんだと毎回思います。そう考えると、僕自身は期待も不安もどちらもあるので、常に乗り越えられているのかはわからないです」
――先ほど松坂さんもおっしゃっていましたが、準備を積み重ねても、本番が一瞬であることのもどかしさも感じました
「そうなんですよね。以前、仕事が忙しい時期に肺炎になってしまったんです。お医者さんに"なんでここまで放置してたんだ!すぐに入院です!"と怒られて、10日ぐらいスケジュールが白紙になってしまって ...多くのスタッフの方や、共演者の方に迷惑をかけてしまったと、すごく後悔したんです。あの経験があるからこそ、より目の前の仕事を大事に、自分の中に落とし込めるようになりました」
――トガシや、本作のキャラクターを見ていて、好きなことを極めていくほど、好きかどうかわからなくなる瞬間があると感じました。松坂さんはどのように好きでい続けようとしていますか?
「好きなことを仕事にすると、好きでいられなくなる瞬間は絶対やってくるので、好きであり続けるための努力は自分でしなければいけないと常々思っています。そして、好きであり続けるためには、最終的にはやるしかないと腹をくくって、仕事に向かうことかなと思っています。本番でベストパフォーマンスができても、できなくても、それは自分が積み重ねてきた努力や、向き合ってきた結果だと思って、受け入れるようにしています」
取材・文・撮影=於ありさ
ヘアメイク=AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)
スタイリスト=猪塚慶太
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