劇場版『チェンソーマン レゼ篇』楠木ともりが語る、マキマ役を通じて見つめ直した表現の本質「ターニングポイントになったキャラクター」
2025.9.9(火)

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が、ついに2025年9月19日に公開される。TVシリーズでも注目を集めたマキマが、本作ではどのような姿を見せるのか。演じるのは、TVシリーズに続き楠木ともり。圧倒的なカリスマ性と得体の知れない空気をまとったこの難役を、彼女はどのように掘り下げてきたのか。
アフレコ現場での印象的な出来事や、共演者とのやり取りに加えて、マキマというキャラクターとの出会いが、自身の芝居観や声優としてのスタンスにも大きな影響を与えたという楠木。キャラクターと作品、そして声優としての現在地を静かに見つめるその言葉からは、確かな成長と深化がにじみ出ていた。
――TVシリーズのマキマは、その圧倒的な存在感と"得体の知れなさ"で多くの視聴者に強い印象を残しました。劇場版の制作発表時もSNSなどで大きな反響がありましたが、改めて今回、再びマキマを演じると聞いた時、ご自身の中ではどんな感情が湧きましたか?
「もともと『レゼ篇』は、私も一ファンとして劇場で観たいと思っていたエピソードだったので、今回その形で収録できることが決まった時は本当に嬉しかったです。いざ収録を迎えると、登場シーン的に個別で録るのかなと予想していた部分もあったのですが、思ったよりも他のキャストの皆さんと一緒にアフレコできる機会が多くて。久しぶりに物語が進む感覚の中で役を演じることができたのが、すごく楽しかったですね。掛け合いの空気感を共有しながら演じられたことも、とても大きかったです」

――共演者やスタッフとのやりとりの中で、印象的だった出来事や、今も心に残るエピソードはありますか?
「現場では作品について熱く語る、というよりは、オンとオフがはっきり分かれている雰囲気でした。パワー役のファイルーズあいさんが、すごく美味しいお菓子を持ってきてくれて、普段あまり現場で食べ物を口にしない私も、つい手が止まらなくなってたくさん食べてしまったのが印象的です(笑)。ファイルーズさんの明るさがそのまま現場のムードメーカーになっていて、楽しい雰囲気でした。ただ一方で、収録日が違ったために会えなかったキャストもいたので、今度イベントなどで直接お会いできたらいいなと思っています」
――「レゼ篇」は原作の中でも、マキマというキャラクターの"知られざる一面"や、普段は見えない奥行きがふいに覗くような特別なパートですよね
「そうなんです。実は私自身も、原作を読んでいて"レゼ篇"でマキマを好きになった部分があるんです。今までとは違う表情や、ちょっとだけ見える"知られざる一面"にすごく惹かれて。だからこそ、あまり大きくキャラクター像を変えるというよりは、TVシリーズで作ったトーンや空気感を基盤にしつつ、物語やシーンの流れの中でマキマの"今必要な役割"や"その場の空気"をすごく大事にして演じるように意識しました。マキマはあくまで自分を変えて成長していくタイプではないので、ニュアンスの違いを大切にしています」


――支配的でありながら包容力もあるマキマは"掴みどころのなさ"が大きな魅力でもあり、難しさでもあると思います。そうした二面性を表現するうえで、楠木さんご自身が特に意識している声のトーンや間合いはありますか?
「マキマは本当に繊細なキャラクターで、例えるなら"針の穴に糸を通すような"細やかなニュアンスの調整が必要だと思っています。普通はキャラクターの気持ちを想像して、その内面を演技に乗せることが多いのですが、マキマの場合はあまり感情を乗せすぎないことも大事なんです。私が大切にしているのは"デンジから見えているマキマ"という視点。あくまで視聴者やデンジの目を通してマキマという人物がどう映るかというところに重きを置いています。気持ちをアウトプットしすぎないことで、"底知れなさ"や"多面性"が生まれればいいなと思っています」
――マキマを演じ続ける中で、その"掴みどころのなさ"や"多面性"とどう向き合っていくかというスタンスも、回を重ねるごとに変化していったのではないでしょうか。初期と現在で、演じ方やキャラクターへの距離感に変化があれば教えてください
「これまでの私は、役作りにおいてキャラクターの気持ちを細かく組み立てて、しっかりプランを持って収録に臨むことが多かったんです。ただ、マキマというキャラクターに出会ってから、"このキャラクターが作品全体でどう作用するのか"とか"物語の中でどんな役割を持つのか"といった全体の構造も考えるようになりました」
――なるほど。単に"キャラクターの気持ちを追いかける"だけでなく、物語の中でマキマという存在がどんな意味を持つのか、より大きな視点で役と向き合うようになったのですね
「ある種ターニングポイントになったキャラクターだと思っています。最近はプランを立てすぎず、現場で生まれる空気や、共演者の方とのやり取りの中から自然と生まれるものを大切にするスタイルに変化してきました。必要最低限のベースだけ用意して、あとは現場で楽しみながら演じる、という感じです」

――もともと『チェンソーマン』のファンだった楠木さんだからこそ、感じているマキマ像や"沼"のような魅力が、ご自身の中でもどんどん深化していっているのではないかなと思います
「演じる前からマキマのことは複雑なキャラクターだと思っていたのですが、実際に役として向き合う中で"好きだけど嫌い"みたいな感情がさらに強くなりました。人としては正直嫌いだな、と思う瞬間もあるけれど、その魅力や"沼"のような存在感には惹きつけられてしまいます。演じている時は、原作を読む時以上に、いろんな視点からキャラクターを見ることができて、自分でも新しい発見がありますね」
――それでは最後に、公開を心待ちにしているファンの皆さんへ、映画の見どころを教えてください
「この夏、劇場版で『レゼ篇』を観られることを私自身も本当に楽しみにしていますし、きっとファンの皆さんも同じ気持ちだと思います。最近は映画も配信などで気軽に観られる時代ですが、この映画は映画館の大きなスクリーンで観てこそ味わえる迫力や臨場感があります。原作ファンの方々も『劇場で観たい!』とおっしゃってくださることが多かったので、ぜひこの機会に映画館まで足を運んでいただき、全編を大画面で体験していただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!」

取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
スタイリスト=森俊輔 ヘアメイク=大久保沙菜
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