長澤まさみ、森山未來が不器用な夫婦のすれ違いを体現!timeleszの松島聡も確かな存在感を放つ、話題の舞台「おどる夫婦」
2025.8.20(水)
2004年に"セカチュー"ブームなる社会現象を巻き起こした映画「世界の中心で、愛をさけぶ」から20年以上が過ぎた。あのとき淡く切ない初恋の記憶を刻んだ長澤まさみと森山未來が、2011年の映画「モテキ」以来、約14年ぶりに顔を合わせ"夫婦役"を演じた舞台――それが、2025年4月に東急歌舞伎町タワーTHEATER MILANO-Zaで上演され、大きな反響を呼んだ「おどる夫婦」だ。
撮影:細野晋司
作・演出を手がけたのは、現代演劇界の旗手・蓬莱竜太。数々の演劇賞に輝く彼が本作で描くのは、現代社会に"生きづらさ"を抱える夫婦の10年間である。舞台衣装デザイナーとして働くキヌ(長澤まさみ)と、夢を失い、哲学的に人生を考えながらも社会との接点を失ったヒロヒコ(森山未來)。演劇サークルのスタッフ同士として出会った彼らは、恋愛感情というより、"人生に先手を打つ"という曖昧な動機で結婚する。互いだけが自分を理解してくれると思っていたその関係は、やがて日々の生活の中でほころび、すれ違いを重ねていく。
撮影:細野晋司
長澤が演じるキヌは、仕事に邁進しながら、母親との確執や記憶障害を持つ弟のことなど複数の問題を抱える現代的な女性。そんな複雑な背景を背負いながらも、自分の感情をうまく表すことができず、時にグッと気持ちを抑えるキヌを、長澤は繊細な表情の揺れや静けさの中に宿る芯の強さで表現する。
撮影:細野晋司
対する森山演じるヒロヒコは、一見だらしなく、無気力にも見える人物だ。しかしその奥には、喪失や自責の念、そして言葉にできない孤独が潜んでいる。心に"何か"が深く根を張っているようなお芝居は見事。この役の持つ脆さと温かさを森山は同時に浮かび上がらせている。
撮影:細野晋司
そして本作で最も印象的なのは、物語が進むにつれて色濃くなる夫婦の立体的な関係性だ。劇的な出来事ではなく、日々の微細な心の動きや苛立ち、距離感のズレが、"間"や"沈黙"を通して描かれる。言葉にならない想いを"空気"で感じ取る――それはまさに舞台ならではの醍醐味。だからこそ痛いほどリアルに伝わるものがある。
撮影:細野晋司
とりわけクライマックスの"踊り"の場面は圧巻だ。言葉では埋められなかった2人の"隙間"を、踊るという行為がゆっくりと満たしていく。その一連の流れは甘美な映画の1シーンのよう。ダンサーとしても高く評価されている森山が魅せる、しなやかで息を飲むほど美しい身体表現は必見だ。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
さらに本作には、キヌの弟・光也役でtimeleszの松島聡も出演。幼い頃の高熱の後遺症で記憶を長く保てないという難しい役柄だ。伊藤蘭が演じる母・朋恵の庇護のもとで生きながらも"社会とつながりたい"と前を向く光也の純粋で少年のような瞳は松島自身のそれと重なる。一方で、自虐心や荒んだ感情を爆発させるシーンでは、これまでのイメージを覆す、剥き出しの芝居を披露。アイドルという枠を超え、一人の役者として確かな存在感を放っている。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
8月23日(土)にWOWOWライブでの放送にあたり、長澤と森山の対談インタビューに加え、松島聡、伊藤蘭の単独インタビューも併せて収録されているので、こちらも注目したい。
舞台「おどる夫婦」は、大きな事件やドラマティックな展開が起こるわけではない。むしろ、何げない日常と、毎日を懸命に生きる人々そのものを描き出すことで観客の心にそっと寄り添ってくれる...。ふとした瞬間に自分の人生と交差するような、密度の高い没入体験ができる演劇作品だ。
撮影:細野晋司
文=川倉由起子
放送情報【スカパー!】
<新作舞台と映画でたどる!長澤まさみ×森山未來特集>
おどる夫婦
放送日時:2025年8月23日(土)20:30~
世界の中心で、愛をさけぶ
放送日時:2025年8月23日(土)16:00~
モテキ
放送日時:2025年8月23日(土)18:30~
チャンネル:WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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