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松岡禎丞「人に笑っていてほしい」 アニメ『TO BE HERO X』で自身と重なったリトルジョニーの素顔

2025.8.1(金)

TVアニメ「TO BE HERO X」松岡禎丞が演じたリトルジョニー
TVアニメ「TO BE HERO X」松岡禎丞が演じたリトルジョニー

中国を拠点に若者から絶大な人気を誇る「bilibili」と、これまで数多くの名作を世に送り出してきた「アニプレックス」による完全オリジナルアニメーション「TO BE HERO X」がフジテレビほかで放送中。毎週月曜にNetflix、Prime Videoほかで最速配信されている。

物語の舞台は、「信頼値」によってヒーローのランクが変動する世界。人々からの信頼を集めるほどヒーローは力を増し、信頼を失うとその能力も失われてしまう。そんな中、物語の中心となるのは、トップランカーである10人のヒーローたち。

今回HOMINISでは、マスコット的な愛嬌で話題のヒーローコンビ"リトルジョニー&ビッグジョニー"でリトルジョニー役を務めた松岡禎丞へのインタビューを実施。ヒーロー観への問い直し、演じる中で感じた作品の深みについて語ってもらった。

――本作全体を通して、どのように演じられましたか?

「各々がヒーローを目指す心の動きにフォーカスを当てて、ものすごく丁寧に表現されている作品だと率直に感じました。ヒーローって"誰かのため"という印象がありますが、人によっては"自分のため"であったり、いろんなヒーローがあるとは思うんですけど、ヒーローとは何なのかっていうのを改めて考えました」

――日曜の朝放送としては、かなりヘビーな内容であったり、ビジュアルも独特ですが、どのように受け止められましたか?

「面白い試みだなと思いました。もっと進化していくと、また面白い表現とかが今後生まれていきそうですね」

――出演が決定した時のお気持ちは?

「『TO BE HERO X』っていう作品を聞いて、どういう作品なのかなと思いました。昨今アニメーションのクオリティがどんどん上がっていっている中で、bilibiliさんが作ってくださった作品ですが、やるべきことをやるっていうのは変わらないので、実際に現場に行ってみてどうなるのかって部分が不安でもあり楽しみでもありました。でも、キャスト表を見た時には、これは大丈夫だなと安心しました」

――8話の【ラッキーシアン編】からは全編2Dで制作となりました。最初に映像をご覧になった感想は?

「世界観が面白いなと思いました。ヒーローが人々から応援され、その応援を糧に願望が形になるというか。"あの人は飛べるんだ"という思いが集まれば本当に飛べるようになるし、"あの人は最強なんだ"と思ったら最強になるという。使い方によっては悪い人がヒーローの仮面を被って詐欺ヒーローをやったら、悪用できてしまいます。なので、どこを見てどういう風にヒーローとして見るのか。いろいろなヒーローがいるなと思うのと同時に、いろいろなヒーローの在り方があるなと、その世界観が面白いなと思います」

――松岡さんと親交のある声優さんがたくさん出演していらっしゃいますが、共演者の方々とのエピソードはありますか?

「別々に録っているんです。全員が一同に介して録ったシーンは一回もなかったです。みんな揃ったジャパンプレミアの時に隣の控室だった島崎 信長(※「崎」は正しくは「立さき」)さんとはお話しましたね」

――今作は原音の中国語版があり、日本語版は吹き替えのような形ですが、演じる上で違うことはありましたか?

「声優の仕事として吹き替えもやっているので、あまり変わらないです。原音があると、それがお芝居の道しるべになって、そこに自分が考えたビッグジョニーやリトルジョニーを肉付けしていく。基本的には原音で得た演技の方向性や性格を覚えた上でやってしまえばそんなに苦労することもなかったです」

――演じられたリトルジョニーの第一印象は?

「最初は、ものすごく天真爛漫な元気な男の子っていう印象を受けたんですが、蓋を開いてみると、結構黒いものがあって。実は意外とズボラだったり、ビッグジョニーのことをは『ダーチャンは俺の息子なんだ!』って言ってるところがあったり。ダーチャンも可愛いだけなのかなって思ったら結構凶暴な部分があって、意識がシンクロしているこの2人には何があるのかなって思いました」

――その陽気な雰囲気にちょっと危うさを感じますね

「そうですね。あれ?この子なんか頑張ってキャラを作っているのかな?って」

――ビッグジョニーは人情一体の絆と謳っていますが、演技にどう反映させていますか?

「ビッグジョニーを"獣"として線引きをしてないんです。家族であって、対等の関係としてみています。ペットではなく家族という考えが『俺の息子なんだ』って言っている部分からも読み取れます。2人の衝動的な波長がシンクロしている時にビッグジョニーがギラギラするのですが、感情が高ぶれば高ぶるほどそれがシンクロします。それは表現しようとしたというよりも、結果的にそうなった感じです。そこのさじ加減は皆さんと相談して作っていきました」

――2人のコンビとしての魅力は?

「この2人だからできるっていうことがあるんですよね。戦術についても、2人の日常を見ていても。あとは、リトルジョニーは人を信じやすいので、目が離せないです。だから、この2人は面白いんだなって思います」

――リトル&ビッグジョニーはヒーローランキング上位ですが、人気の理由は何だと考えますか?

「2人揃っての可愛さからですかね。最初からリトルジョニーとビッグジョニーは一緒にいるのが自然なくらいなので、どちらかがいないと、あれどうしたの?ってなっちゃう。だから2人で一緒にいないと、これは成立しないのではないかなと思います」

――印象に残っている他のヒーローとのエピソードはありますか?

「リトルジョニー&ビッグジョニー編1話、黙殺との車のシーンとか良かったですね。リトルジョニーが言ったことにドン引きしていたりとか」

――黙殺の心の中のツッコミがあるからこそ、リトルジョニーの空気を一人で感じているのが愛おしく見えますよね。クイーンとの絡みはいかがでしたか?

「クイーンとは無理やり仲良くなったっていう、表現が正しいのかもしれないです。下手したらナンパに見えてしまうので、グイグイいきすぎないように調整を頑張りました。結果的に『ビッグジョニー可愛い!』ってなってくれて良かったです」

――リトルジョニー&ビッグジョニー編で特に印象に残っている場面はありますか?

「リトルジョニーのお父さんの話は、すごく印象に残っていますね。あの場面があったからこそ、ヒーローへの憧れの原動力となるわけですが、同じような経験をする子たちを減らせればと思いましたね。またビッグジョニーも、怒りや悲しみが限界突破すると、シンクロしてものすごくデカくなって凶暴化するので、人獣一体というパートナーがいてこそのキャラクターだと思います」

――演じられたリトルジョニーとご自身が似ている部分、逆に似ていないと思う部分はありますか?

「"人に笑っていてほしい"という思いは、僕の根底にもあると思います。多分、私生活はすごく似ています(笑)。家に帰ったらとにかくソファにバターンと倒れ込んで、疲れた目で無音の部屋にいます。逆に似ていない点は、昔はリトルジョニーみたいに体力があったんですけど、今はそこまでクレバーにやる体力がないです。人間、1人でやれることって限界があるんだなって、経験を回せば回すほど打ちのめされるので...影分身できたらいいんですけどね」

――最後に、HOMINISを読んでいるファンの皆様に一言お願いします

「『TO BE HERO X』にはさまざまなヒーローがいるんですが、その1人1人が信念を持っていろんな過去を抱えて背負って生きてヒーローになっていく様を見て、共感できるヒーローやできないヒーローがいたりすると思います。それがあなたの中で求めているヒーロー像だとわかりやすく感じられると思いますので、ぜひ最終話まで観ていただいて、あなた自身にとっての"ヒーロー"とは何か、感じ取ってもらえたら嬉しいです」

文=HOMINIS編集部

放送情報

TVアニメ「TO BE HERO X」
放送:フジテレビ系、毎週日曜9:30〜
配信:Netflix、Prime Videoほかで配信中
声の出演者:宮野真守、花澤香菜、内山昂輝、中村悠一、松岡禎丞、佐倉綾音、水瀬いのり、山寺宏一、島﨑信長、花江夏樹ほか