粗削りな若き舘ひろしの魅力が全開!70年代の空気を満喫できる映画「皮ジャン反抗族」
2025.7.31(木)
1978年に公開された映画「皮ジャン反抗族」は、舘ひろしが主演した、彼の初主演映画である。70年代当時の狂躁的な若者たちの生活ぶり、オートバイを通じての少年との友情やちょっと不器用な恋模様などを描いた青春映画だ。士曜の夜にディスコに集う若者たちが巻き起こす騒動や危険な遊びなど、エキサイティングなエピソードを当時流行したディスコサウンドにのせて描いていく。
■昼は修理工、夜はディスコに集う主人公たちの青春物語
自動車修理工場で働く主人公の新治(舘ひろし)は、ディスコ「アポロン」の常連。ある土曜の夜、新治はアポロンで常連客・メグ(夏樹陽子)の親衛隊とペギイ(山科ゆり)率いるスケバングループの喧嘩を仲裁する。その後ペギイの援軍で現れたチンピラたちをも一蹴するが、チンピラの親玉である内田(片桐竜次)が現れてボコボコに痛めつけられる。メグには金持ちの情夫・正一(加藤大樹)がいたが、魅力的な新治に関心を抱く。新治の存在が面白くない正一は、オートバイのチキンレースで新治と対決するが敗れてしまう。度胸を見せつけた新治に惚れ込んだメグは新治をベッドに誘う。
一方、勤め先の修理工場の経営者・文代(白川和子)の息子・修(秋山敏和)は、新治を慕ってオートバイの運転を教わるなど、交流を深める。そんな毎日を送る新治だったが、スーパーの店員・マヨ(森下愛子)に恋心を寄せていた。だが、マヨは新治を痛めつけたチンピラ・内田の妹で、内田に金をせびられていた...。ある日、道で蹲っているマヨを助けた新治は、彼女が悪い男に捨てられて妊娠していた事実を知る...。
タイトルから、若さを持て余して暴走する若者たちの物語のような印象を持ってしまうが、舘ひろし演じる新治は、むしろ純朴で真面目な青年だ。ケンカの場面での激しい格闘こそあるが、仲裁した立場だし、危険なチキンレースにしても相手の挑戦に応じただけだ。心に傷を負った修少年との交流なども微笑ましい。心に鬱屈なものを抱え、孤独でどこかナイーブで心優しい。そんな主人公像は、どことなく名画「理由なき反抗」のジェームス・ディーンを思わせる。本作のタイトルに「反抗族」と冠せられている点、チキンレースの場面が印象的に挿入されていることなどの共通点もあり、名作へのオマージュであったのかもしれない。
■誤解が元で悲劇的な結末に。ラストシーンの余韻が印象深い
終盤にかけて、ストーリーは大きく動いていき、ある主要人物が悲劇的な死を遂げる。ちょっとした誤解が原因ではあるが、その責任を感じた新治は心に傷を負う。そして、新治の運命もまた、ある「誤解」によって悲劇に向かっていく...。やるせない結末を迎え、悲しい青春物語ではあるが、余韻を残すラストシーンは印象深い。
当時の青春映画では、定番的なストーリーであったと思う。監督を長谷部安春は、「野良猫ロック」シリーズなど日活アクション作品で名を馳せ、舘ひろしとは後に「あぶない刑事」でもタッグを組むなど盟友でもあった。初期の「相棒」シリーズでも活躍したが、本作で強烈な存在感を放っている片桐竜次は、「相棒」の内村刑事部長役でおなじみだ。本作で演じている内田役は、まさに迫力満点の悪役であり、危険な臭いを放つ濃い風貌も魅力十分。物語の最後に重要な役割を担う。夏樹陽子は妖艶な美しさで画面映えするし、森下愛子の「守ってあげたくなる」薄幸そうな雰囲気もいい。白川和子や山科ゆり、八城夏子らのにっかつロマンポルノ出身の女優が多く出演しているのは長谷部監督が日活出身だったためだろう。特に八城は長谷部監督に重用され、不良娘役を得意としていた。また、メグの親衛隊として、出演している小林まさひろは、かつて清水アキラらとザ・ハンダースで活躍した元芸人。「ありがとうの小林くん」として知られ、70年代にはテレビで大活躍していた人だ。芸能界引退後は料理人に転身して成功したが、2016年に病気で逝去している。また、「アポロン」のクセの強いDJとして登場する林ゆたかは、かつてグループサウンズで活躍して俳優に転向。名作「新幹線大爆破」や「野獣死すべし」などにも出演し、後に実業家に転身してライブハウス経営でも有名になった。
舘ひろしを中心に多彩な俳優陣が顔を揃えて、ディスコを中心に70年代の若者風俗も楽しめる映画「皮ジャン反抗族」は、良くも悪くもあの時代の空気を存分に感じさせる青春映画だ。熱血する若者や夢見る乙女は出てこないが、だからこそリアリティがある。若き舘ひろしの演技は、粗削りで洗練されてはいないものの、やはり魅力的だ。本作で初出演を果たした後は、「あぶない刑事」シリーズなどで俳優として成長を見せ、近年でも「ゴールデンカムイ」(2024年公開)の土方歳三役で印象的な演技を披露。まだまだ健在でファンを喜ばせている。そんな舘の若き日の粗削りな演技を本作で改めて堪能してほしい。
文=渡辺敏樹
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