中井貴一と柴田恭兵による芝居合戦が大河ドラマ「武田信玄」にもたらしたヒリヒリ感
2025.7.31(木)
映画からドラマ、舞台に至るまで意欲的に芝居に取り組み続けている俳優・中井貴一。威厳あふれる重厚な役を演じたかと思えば、人間味あふれる表情豊かな役やコミカルな芝居で観る者をくすりとさせるなど、硬軟幅広く演じられる稀有な俳優だ。そんな彼が25歳という若さでNHK大河ドラマ初出演にして主演を務めた作品「武田信玄」(1988年、NHK総合ほか)の総集(全5回)が8月2日(土)から時代劇専門チャンネルで放送される。
同ドラマは、甲斐の戦国武将・武田信玄の人生を描いたもので、初回視聴率42.5%、最高視聴率49.2%、平均視聴率39.2%で、大河ドラマ史上2番目の平均視聴率を記録している。
「甲斐の虎」という異名を持ち諸国の大名たちから恐れられた信玄は、強大な軍事力を有し、知略に長け、天下人となった徳川家康に唯一土を付けたほどの人物で、泰然自若として描かれた肖像画(※諸説あり)のイメージも相まって、苛烈で荒々しい印象が強いが、同作品で中井は、信玄をクールで理知的で愛にあふれた人物として表現。一般的なイメージをいい意味で裏切る役作りで、信玄の知られざる魅力や人間性を表している。

中でも、驚くべきは時をへて纏っていく威厳のグラデーションに富んだ表現だ。信玄の一生を描くため、中井は信玄の青年時代から晩年までを演じているのだが、年を重ねていくにつれて内から出るオーラの分厚さが増していくのだ。最初から「甲斐の虎」なのではなく、人生経験と国主としての責任を積み上げていくことで「甲斐の虎」になっていくという1人の人間としての成長を描き出している。しかも、それを25歳という若さで成し遂げているということに畏怖の念すら抱いてしまう。

一方、物語をけん引する中井の名演もさることながら、信玄のライバル・上杉謙信を演じた柴田恭兵の芝居も圧巻。信心深く、己の信じた道を貫く姿勢で家臣を引っ張る、信玄とは違ったタイプの魅力あふれる人物として表し、見事に主人公のライバルとしての存在感を放っている。
特に、信玄と謙信が激突した川中島合戦を描いたシーンでは、信玄との読み合いを繰り広げた頭脳戦、謙信が単騎で武田本陣へと攻め入って信玄に一太刀浴びせる場面など、常に中井と申し合わせたかのように対照的な色の、両者のコントラストを濃くした芝居を披露。この中井と柴田の芝居合戦も、信玄と謙信による実力伯仲のヒリヒリさに一役買っている。
互いにベテラン俳優となり、落ち着いた演技を披露することが多くなった名優同士が、芝居で、若々しく、熱く激突するようすを存分に堪能してほしい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
武田信玄 総集編
放送日時:2025年8月2日スタート毎週(土)21:00~
放送チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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