ニュース王国

市川実日子らの絶妙な会話劇に爆笑!「おじさんにしか見えない宇宙人」との日常を描くバカリズム脚本の「ホットスポット」

2025.7.20(日)

ドラマをたくさん見ていると、必ず"気になる役者"が出てくるもの。外見が魅力的というだけでなく、この人の演技いいな、面白くて味があるな、またはお芝居がとても上手いなど、良い印象を持っていると、次に違う作品でその人を見かければ嬉しくなって、どんどんハマっていく。

市川実日子演じる富士山麓の町で暮らすシングルマザーが、宇宙人と関わっていく日常を描く
市川実日子演じる富士山麓の町で暮らすシングルマザーが、宇宙人と関わっていく日常を描く

(C)NTV

「ホットスポット」の市川実日子も、そんなふうにジワジワと人気を高めてきた1人だ。2016年の映画「シンゴジラ」でゴジラ対策の特別チームに入る理系の官僚をクールに演じ、改めて注目され、2018年の「アンナチュラル」、2019年の「凪のお暇」、2021年の「大豆田とわ子と三人の元夫」などで、いわゆるヒロインの親友ポジションとなり、独特の存在感を発揮してきた。

そして、バカリズム脚本の「ホットスポット」で民放のGP帯連続ドラマ初主演。「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディ」というキャッチフレーズの本作では、山梨県の富士山麓の町で中学生の娘と暮らすシングルマザーの清美を演じている。

(C)NTV

清美は富士山がよく見える湖畔のホテルで働いており、ある日、職場からの帰り道でトラックにはねられそうになったところを、同僚の高橋(角田晃広)の人間離れしたスピードと腕力で救われる。そのことを詳しく尋ねると、なんと、高橋は「実は俺、宇宙人なのね」と言うのだが...。

最初はその言葉を信じていなかった清美だが、高橋に10円玉を素手で曲げられるところを見せられ、驚きのあまり、そのことを友人のみなぷー(平岩紙)とはっち(鈴木杏)に言ってしまう。高橋は清美の口の軽さに怒りつつ、3人がカフェやファミレスで集まる時に参加するようになり、そのちょっとすごい能力で、彼女たちの日常のトラブルを解決していく。

■市川実日子と角田晃広の"芝居とコントの境界線"の軽快なやり取りが笑いを誘う

(C)NTV

まるでSFのような設定だが、バカリズムの最初の発想は「職場であんまり仲良くない人が宇宙人だったら面白い」ということだったという。市川は、清美がそんな"ありえない現実"を受け入れ、ときどき宇宙人の能力をちゃっかり利用し、高橋を単なる同僚ではなく仲間の1人として助け合うようになる変化をナチュラルに演じている。本当に自分の住んでいる町にもいそうな人という親近感が持てる自然体の演技だ。

(C)NTV

職場での付き合いや地元の人間関係、おいしいお弁当の情報など、どこにでもある日常のあるあるを女友達と話しては、キャハハと高笑いしたりおどけてポーズを取ったり。そんな場面では、共演した角田らが口を揃えていう市川の「陽気で面白い人」だという素顔も出ている。

角田も「大豆田とわ子と三人の元夫」などに出演し、「東京03」でのコント芸人としての活動を知らない人にも、気になるバイプレーヤーとして認知されてきた。「連ドラでこんなメインの役をやることはめったにないから」と、この宇宙人・高橋役にかけてはかなりの気合いを入れ、ワイヤーなどを使ったアクションにも挑戦。ホテルの大浴場で全裸になるシーンもあり、まさに体を張っている。会話劇では、セリフの間の取り方、ツッコミなど、芸人ならではのセンスで芝居とコントの境界ギリギリのラインを攻め、笑わせる。

(C)NTV

本作はザテレビジョン・ドラマアカデミー賞を3部門受賞。市川が主演女優賞を、角田が助演男優賞を受賞した。筆者が受賞インタビューを担当したが、2人ともバカリズム(脚本賞受賞)の台本が面白いだけに、映像作品としても必ず面白いものにしなければならないというプレッシャーがあったようだ。しかし、そんなことは感じさせない脱力系コメディとしての仕上がりを、ぜひ楽しんでほしい。

文=小田慶子

放送情報【スカパー!】

ホットスポット
放送日時:2025年8月9日(土)9:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます