若き日の上川隆也が滲ませる人妻への恋心...その名を知らしめた「大地の子」以後、演技の幅を広げたスクリーンデビュー作「東京夜曲」の煌めき
2025.7.11(金)
今年5月に還暦を迎えた実力派俳優・上川隆也。7月11日(金)よりスタートする主演ドラマ「能面検事」(テレビ東京)では、権力や組織にも一切忖度することなく、淡々と職務を全うするエース検察官役にチャレンジ。新たな当たり役となりそうな"異色のヒーロー"に早くも期待の声が高まっている。
数々の映像作品で主役を張り、その確かな演技力で常に観る者を惹きつける上川のキャリアは、創立40周年を迎えた演劇集団「キャラメルボックス」で培われた。1990年代当時、看板俳優だった彼を全国区に押し上げたのは、NHKドラマ「大地の子」での鮮烈な演技だろう。若手の実力派俳優として一躍注目を集めた彼は、その後、映画界にも活躍の場を広げていく。
スクリーンデビュー作は、1997年に劇場公開された映画「東京夜曲」だ。2025年に生誕77年を迎える名匠・市川準監督がメガホンを取り、脚本を「キングダム」シリーズで知られる佐藤信介が手掛けた本作は、東京の片隅にある商店街を舞台に、そこに暮らす人々の心模様を描いた人間ドラマ。大人の恋愛模様を優しいタッチで綴り、繊細な心象描写が高く評価された。
(C)1997株式会社衛星劇場
主演を務めた長塚京三をはじめ、倍賞美津子、桃井かおりといったベテラン勢が織りなす重厚なアンサンブルの中で、若き日の上川隆也はひときわ強い光を放っている。演じたのは、作家志望の青年・朝倉。数年前に家族を残して家出した浜中(長塚)の妻・久子(倍賞)に秘かに想いを寄せる役どころで、どこか物憂げな佇まいが映画全体の文学的な雰囲気に馴染んでいる。
(C)1997株式会社衛星劇場
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人妻への許されぬ恋心と憧れ――言葉にできない複雑な感情を、上川は温度感を抑えた演技の中に滲ませる。久子を遠くから見つめる寂しげな眼差しや逡巡する表情、そして時折見せる切ない吐息。口数の少ない役柄ゆえの、セリフに頼らない表現は非常に味わい深いものがある。
"間"の取り方も絶妙で、その沈黙やさりげない仕草からも、朝倉という人間性を紐解きたくなる。当時の上川は30代前半。年齢差のある倍賞とのどこか緊張感のある会話のやりとりは、様々に想像力をかきたてるはずだ。持ち前の感性で、若さゆえの純粋さや抗えない感情の渦に飲み込まれた青年の苦悩を見事に演じきっている。
(C)1997株式会社衛星劇場
誰もが知るベテラン役者として、円熟味を増し続ける上川隆也。長年にわたる経験と常に新しい役柄に挑む姿勢が、彼の俳優としての深みを増幅させていると言えるだろう。1997年の日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞し、その非凡な才能をスクリーンという新たな舞台で示した「東京夜曲」。この機会に、彼の映画の原点である名演に触れてみてはいかがだろうか。
文=川倉由起子
放送情報【スカパー!】
東京夜曲
放送日時:2025年7月13日(日)20:30~、7月17日(木)12:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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