サモ・ハン・キンポーのブレイク作!クンフー・コメディの傑作「燃えよデブゴン」
2025.7.4(金)

サモ・ハン・キンポー主演のクンフー・コメディの傑作「燃えよデブゴン」が、ムービープラスで放送される。
本作は主演のサモ・ハン・キンポーが監督も務めた香港映画で、1978年に公開された(日本公開は1981年)。タイトルからも分かるように、ブルース・リーの代表作「燃えよドラゴン」へのオマージュを込めて作られた作品で、引き締まった肉体のブルース・リーの「燃えよドラゴン」の英語タイトル「Enter The Dragon」に対して、ぽっちゃり体型のサモ・ハン・キンポー主演の本作は「Enter The Fat Dragon」となっている。タイトルだけでなく、作品の中身もブルース・リーへのリスペクトとオマージュがふんだんに感じられ、それこそ"小ネタ"探しをしながら見るのも楽しい作品だ。

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
物語の主人公は、香港の田舎で豚飼いをして暮らしている青年、ウォン・ロン(サモ・ハン・キンポー)。ブルース・リーに憧れている彼は、親指で鼻をこする真似をしながら、家畜の豚の世話をしていた。しかし、町で叔父が経営しているレストランの手伝いに呼ばれ、田舎を後にする。
町に向かうところでタイトルバックが流れ、サモ・ハン・キンポーのキレのある動きが見られるが、ここにもブルース・リーの肖像が使われている。
叔父が経営するレストランで働き始めて早々に、いつも"ただ食い"をしているチンピラ連中を一掃するウォン。ぽっちゃり体型だが機敏な動きで、まさにコテンパンにやっつけてしまう。チンピラたちは一旦退散するが、もちろんそのままで済むはずがない。ウォンが出前に出かけた間に店に仕返しにやってきた。食堂はめちゃくちゃになるまで荒らされ、叔父はショックを受けて休業することを決めた。職を失ったウォンは、叔父の店の常連客だった美しい女性、メイ・チェンとその妹に繁華街で遭遇。彼女たちが働く高級レストランに"用心棒"として雇ってもらえることとなった。

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
行く先行く先でトラブルに巻き込まれてしまうウォン。でも、これはアクション映画の主人公の運命だと言える。そのようなストーリー展開だと、シリアスになってしまったり、悲壮感が漂ったりすることも多い。しかし、サモ・ハン・キンポーの"デブゴン"シリーズは、太っていて一見すると鈍くさく思える主人公なのに、実は驚異的な身体能力を有し、キレのあるクンフーの技を繰り出すという"ギャップ"によって、緊張と緩和が生まれ、ユーモラスな雰囲気も作り出してくれる。
タイトルからして、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」のオマージュで、戦い方から仕草までブルース・リーそっくりの動きを見せている。これもブルース・リーの作品を知っていると、より本作の面白さが増幅される。実は「燃えよドラゴン」にもサモ・ハン・キンポーは出演しているので、彼の動きが決してからかったりしているわけではなく、リスペクトしているから故のものだと断言できる。
そしてもう1つ注目してもらいたいのが、"ジャッキー・チェン"を意識しているところ。ジャッキーも「燃えよドラゴン」にエキストラとして出演しているという共通点があり、サモ・ハン・キンポーとは中国戯劇学院で共に「七小福」(特に優秀な7人の生徒)に選ばれたこともあるなど、交流を持っていた。「燃えよデブゴン」は日本での公開は1981年だったが、香港での公開は1978年。この年はジャッキーが「スネーキーモンキー 蛇拳」、「ドランクモンキー 酔拳」によってスーパースターの地位を確立した年だった。「燃えよデブゴン」の中で、ウォンが酔っ払いながら敵と戦うシーンが出てくるが、これは"酔拳"を意識したものに違いない。2人の場合、ライバルというよりは、それぞれの作品に何らかの形で関わっていることも多く、1980年代には共演作も増えていったりもしたので、"仲間"という関係性の方がしっくりくる。

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
本作のインパクトがよほど強かったのか、サモ・ハン・キンポーが主演を務める作品は、それ以降"燃えよデブゴン"のサブタイトルが付けられることが多く、シリーズもののように思われるが、全く別作品だったりする。言うなれば本作は彼のブレイク作であり、押さえておくべき作品である。
軽快なアクションと笑いもたっぷりと込められた「燃えよデブゴン」を令和の今、改めてじっくりと楽しんでもらいたい。
文=田中隆信
放送情報【スカパー!】
燃えよデブゴン
放送日時:2025年7月8日(火)13:30~、7月18日(金)9:15~
チャンネル:ムービープラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
-
瀬戸康史、長澤まさみの"俳優"としての印象は?映画「ドールハウス」インタビュー
提供元:HOMINIS6/9(月) -
千尋役の中沢元紀に集まる熱い視線!朝ドラ「あんぱん」で河合優実、高橋文哉らが体現する若者たちの青春模様
提供元:HOMINIS6/9(月) -
生田絵梨花が松本清張『天城越え』で見せた俳優としての覚悟「遊女ハナの運命が変わる場面は『すっぴん』で演じたかった」
提供元:HOMINIS6/9(月) -
「できない自分を鏡で見続けている感覚が悔しかった」俳優・小関裕太が30代を前に思うこと
提供元:HOMINIS6/8(日) -
キム・ジョンヒョンの本気と魂が伝わる...「愛の不時着」「哲仁王后」の再ブレイクを経て挑んだ「凄み」を感じさせる刑事役
提供元:HOMINIS6/7(土)