宮本信子が中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介の"母"になる?ミステリー要素が絡み合う異色のファミリードラマ
2025.7.4(金)

「親子とは?」「母とは?」「子とは?」「ふるさととは?」そんな誰しもが心の中に宿しながらもそれぞれ違ったかたちを成しており、明確な答えがない深いテーマに、一つの答えを提示した作品が、特集ドラマ「母の待つ里」(NHK BS)だ。
同ドラマは、異色の家族小説として大反響を呼んだ浅田次郎の最新長編作を映像化したもので、都会で孤独に暮らす松永徹(中井貴一)、古賀夏生(松嶋菜々子)、室田精一(佐々木蔵之介)の3人の"子供"が、"母"藤原ちよ(宮本信子)の待つ里を訪ねるという、全4話から成る感動のミステリアス・ファンタジー。2025年6月9日に発表された「第15回衛星放送協会オリジナル番組アワード」では、番組部門ドラマ最優秀賞を受賞した。
仕事人間の松永徹にとって、それは40年ぶりの里帰りだった。おぼろげな記憶をたよりに実家にたどり着くと、母は笑顔で迎えてくれた。嬉々として世話を焼いてくれる母、懐かしい家、懐かしい料理に、徹は安らぎを感じる。しかし何故だか、母の"名前"だけが思い出せない。一方、古賀夏生も久しぶりの「里帰り」をする。夏生が向かった先も、「同じ母」が待つ家。そして、妻を失った室田精一も、居場所を求めて「同じ母」が待つ「ふるさと」へ向かう...というストーリー。
■主役級の俳優陣が織り成す繊細な距離感の変化
徹、夏生、精一はそれぞれ、カード会社のプレミアム・クラブの特典「ホームタウン・サービス」によって提供される"幻想"の母・ちよと会い、かりそめながら一時の心の癒やしを得る。最初こそ本当の子供のように接してくるちよや旧知を装う村人たちに戸惑うが、包容力のあるじんわりと温かい優しさにほだされ、しだいに心を開き、無意識にのめり込んでいく。そんな現実離れした設定ながらリアリティーに富んだ芝居で魅せる役者陣はさすがだ。中井、松嶋、佐々木、宮本という、それぞれが作品の顔となる主役級の俳優陣なのだから演技力は推して知るべしなのだが、それを踏まえてもすばらしい。
それぞれの母親役を演じているちよを演じる宮本の"一人で暮らしながら息子の帰りをまっている田舎の母親"感は、設定を忘れてしまうほどにナチュラルであるし、"いい大人"である3人も、つい母親の前だと子供に戻ってしまう人間的な部分をしっかりと表現し、繊細に変化するちよとの距離感を詳らかに表している。しかも、その心の機微を小一時間という短い時間の中で表現し切るところがすごい。
■ミステリー要素が会うはずのない3人をつなぐ"神展開"
重厚な人間ドラマでありながら、縦軸として"どうしてそんな仕事を村ぐるみで請け負っているのか"や"一介の老婆にしては演技が上手すぎる理由"などのミステリー要素も入っており、時に心を揺さぶられ、時にハラハラし、時にほっこりしながらも、最後まで謎の真相を追わざるを得ないところもポイント。温かく、のどかでありながらも、常に不気味さが付いてくるという不思議な作りが、"子供"と"母"の関係を描くだけのお涙頂戴の量産型とは一線を画す魅力あふれる作品にしている。さらに、最終話で会うはずのない3人が邂逅する驚きの展開と、ちよに依存気味だった"子供"たちの新しい人生の道しるべを見出していく姿に"救い"があり、作品として一つの答えを提示してくれている。
主役級の役者陣が織り成す繊細な心の機微を表す表現力と、ミステリー要素をはらんだ重厚な人間ドラマに触れて、文頭の問いに対する答えを見つけてみてはいかがだろうか。
文=原田 健
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