神木隆之介の迫真の演技と浜辺美波の説得力のある熱演に引き込まれる!映画「ゴジラ-1.0」
2025.6.27(金)
1954年、昭和の時代に公開され、人々を夢中にさせた特撮映画「ゴジラ」。令和の世になってもなお、最新作が次々に製作され、各地でイベントやアート展も開催されるなど、多くの人々に愛されている。
そんなゴジラの70周年記念作品として2023年に公開されたのが、「ゴジラ-1.0」だ。終戦間もない日本を舞台に、突如現れたゴジラを撃退するというストーリー。主演は神木隆之介で、特攻隊員として出撃するが生き残り、その後ゴジラに立ち向かう青年・敷島浩一を演じている。また戦後の混乱の中で敷島と出会うヒロイン・大石典子役を浜辺美波が務めた。
■敷島の恐怖や心の傷、そして決意を神木隆之介が迫真の演技で体現
(C)2023 TOHO CO., LTD.
物語は、特攻に向かった敷島が飛行場のある大戸島に不時着するところから始まる。敷島は故障のため島に降りたようだが、整備兵に故障箇所はないと鋭い目でにらまれると、逃れるように視線をさまよわせる。その様子から、敷島は特攻が怖くて島に戻ったことが伝わってくる。
生きて帰れない特攻は、確かに恐ろしいだろう。だがその恐怖心が、さらなる悲劇に繋がっていく。その夜、突如としてゴジラが現れ、基地が襲われるのだ。唯一、敷島にはゴジラを撃退するチャンスがあったが、恐怖のあまりそれを生かすことができなかった。そして島にいた多くの整備兵が命を落としてしまう。
ゴジラが接近した時の見開かれた目、こわばった体。恐怖にとらわれた敷島の様子を、神木は迫真の演技で体現している。本土に戻り典子と出会った後も、悪夢を見たり、うつろな目をしたり、島での体験が敷島の心の傷となり、不安定になっている様子が痛いほどに伝わってくる。
しかし、そんな敷島も次第に変わっていく。ゴジラと戦う民間組織に参加し、戦闘機のつてがあるかと聞く敷島の瞳には、揺るぎない決意が光っている。仲間に「俺の...、戦争が終わってないんです」という時の、心から言葉を絞り出す様子は、見ていて胸が詰まるような思いがする。
最後の決戦でコックピットからゴジラを見据える敷島の眼差しは獲物を狙う鷹のようで、強い覚悟が感じ取れる。冒頭で恐怖に怯えていた敷島は、もうそこにはいない。自分の戦争を終わらせるために操縦桿を握る敷島がいる。物語の中で変わってゆく敷島の心情を如実にスクリーンに映し出す神木の演技には、強く胸を打たれる。
■かけがえのない存在になってゆく過程を浜辺美波が説得力のある演技で熱演
(C)2023 TOHO CO., LTD.
浜辺が演じる典子は、活発で明るい女性として描かれる。敷島との出会いは闇市のような場所で、何かトラブルを起こしたらしい典子が、突然、抱いていた赤子を敷島にあずけて人混みに紛れてしまう。その後戻ってきて敷島と会話を交わすのだが、そんな典子の笑顔とよく通る声は、くすんだ町に咲く綺麗な花のような印象を受ける。
その出会いがきっかけで、2人は共に暮らすようになる。そんな中で典子は、機雷除去という危険な仕事を受けた敷島を怒った表情で止めようとしたり、特攻から逃げた自分を責める敷島を強い調子で励ましたり、敷島に寄り添い、支える存在となっていく。
最後の決戦の時、敷島は典子の写真をコックピットに飾る。典子が敷島にとってかけがえのない存在となる過程を、説得力のある演技で浜辺が演じたからこそ、戦いに臨む敷島の決意がより強く伝わってくるのだ。
本作は国内外で評価が高く、第96回アカデミー賞®︎の視覚効果賞を受賞したことは記憶に新しい。国内でも、第47回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を始め多くの賞を受賞し、神木と浜辺もそれぞれ優秀主演男優賞、優秀主演女優賞を受賞している。日本が生み出した「ゴジラ」70周年を記念するこの作品をぜひ、神木と浜辺の熱演と共にじっくりと楽しんでほしい。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
ゴジラ-1.0
放送日時:2025年7月5日(土)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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