田中圭が「一発勝負みたいな面白さがありました」と振り返る、100分間ノンストップ撮影の異色作「ドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』」
2025.6.25(水)

三谷幸喜がオリジナル脚本、そして監督も務める「完全ワンシーンワンカットドラマ」がWOWOWで12年ぶりに復活する。同シリーズの大ファンだという田中圭が、1度もカメラを止めずに全編100分間を出演し続けるタイムスリップコメディー「ドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』」(2025年6月29日(日)放送・配信)で主演に挑む。
田中圭演じる、太宰治を敬愛するテレビ番組の構成作家・健作は、妻・美代子(宮澤エマ)と一緒に訪れた海辺の街で洞窟を発見。地元の人(梶原善)に止められるも洞窟を進んでいくと、そこにいたのは太宰治(松山ケンイチ)と恋人のトミ子(小池栄子)だった。健作は太宰が心中未遂を起こした現場にタイムスリップしてしまったようだった...。
今回、ワンシーンワンカットの異色作に挑んだ田中に本作の魅力や、どのように撮影が行われたのか裏話も伺った。

――今回の出演にあたり、このシリーズがお好きで三谷さんに直接出演したいと直談判したとのことですが...
「三谷さんとはプライベートでたまたまお会いする機会があり『すごく好きなのですがもうやらないのですか?』と話をしたら喜んでくれまして。とても大変ともおっしゃっていたのですが、『またやるときがあったら参加させてください!』と伝えたらお話がきました。やっぱり言ってみるものだなと思いましたね(笑)」

――ワンカットドラマの魅力はどこにあると思いますか?
「とりあえず衝撃的なところです。何でこの人たちはこんな大変なことをするんだろうって(笑)。でも見ていたら、途中からワンカットということを忘れてしまうくらい面白くて。そして単純にすごいものを見せてもらっていると感動するという。本当にすごいと思います」
――実際にやってみてその印象は変わりましたか?
「今回だけなのかもしれませんが、全編ロケでシチュエーションも海辺と自然満載でした。日や時間によって潮位も違えば天候も違うので、見ているときに感じた緻密に計算されているという印象は変わり、思っていたより行き当たりばったりな感じがしました(笑)。勢いを付けて『やるぞ!撮るぞ!オッケー出すぞ!』みたいな感じ。一歩踏み出したら走りきるだけ、という感覚も楽しかったです」


――今回はまさかのタイムスリップ作品でしたね
「面白いことは大前提にありますが、なんか変だし、本当にワンカットでやるの?とは思いました。あとどういう風に撮るのだろうと疑問も出ました。でも初日を終え、撮影したものを見ていたら面白くて。すごいなと感動しました」
――「何か変」と感じたのは、どういうところでしょうか?
「ツッコミどころ多いんですよね(笑)。健作と美代子との関係も、冷えているのか冷えていないのか、なんか不思議な関係で。あと健作が構成作家で、『はじめてのおつかい』のパロディで『最後のおつかい』という番組を担当しているというのですが、普通に考えたらその企画ダメじゃん!とか(笑)。そういった三谷さんらしいエッセンスが入っているので、楽しんでもらえると思います」

――実際はどのように撮影されたのですか?
「撮影日は6日間取っていて、1日1回トライする感じです。ただこれが大変で。昨日はここで芝居できていたのに今日は潮が満ちているからできないとか、前日に雨が降ったから砂浜に川ができていてスペースが確保できないとか、本当に色んなことがあって。毎日が異なる環境で撮影していたという感じです」
――NGで撮影を止めることはなかったのですか?
「もちろん安全第一なので身に危険があれば止めますが、基本100分ノンストップです。ただ初日、カメラマンさんが海の中を歩いて撮影する場面があったのですが、本番で転んでカメラが水没してしまうハプニングが...。そのときはさすがに止めました、というか、カメラがないからカットをかけるしかなかったのですが。本当にそれくらいです」

――そうなるとキャスト、カメラマンを含めたスタッフとのコミュニケーションが大切になってきますね
「(梶原)善さんが過去と現在を行き来しながらの1人3役で、移動したり着替えたりといろいろするので、僕はお芝居をしながら善さんが消えたかどうか確認して振り返ったりとか、本当に立ち位置や間合い的なものの確認は事前にきちんとやりました。本編では、みんなの息が合ったところが見えると思います」


――お芝居もアドリブとかはあまりせずに計算通り進めていった感じですか?
「基本、台本通りです。台本が完成されているので。あと三谷さんは脚本を書いて演出もされているので、その場で新しいセリフが生まれるんですよ。ですので、現場に入ってから変更はありましたが、カメラを回している最中にというのはなかったです」
――舞台に近い感覚なのでしょうか?
「舞台に近いといえば近いですが、稽古は事前に8日間くらいで、そこまで作り込まないというか。最低限の下準備だけをしてレッツゴーと進めていく感覚です。やり過ぎてもダメだし『リアルカメラを止めるな』的な感覚でやっていて、その一発勝負のような面白さがあると思います」

――今回、太宰を松山ケンイチさんが演じられましたが、共演していかがでしたか?
「松山さんは同学年でキャリアも同じくらいで、それこそ若いころ、オーディションを受けていると何度か一緒になったり、『あの役は松山くんになったのか...』みたいなこともあったので、今回ガッツリお芝居できると知ってうれしかったです。途中、太宰が方言で話すのですが、これは彼のアイデア。本番を含め、いい意味で何をやってくるか分からないワクワク感を味わわせてもらいました。松山さんを含め、(小池)栄子さんや(宮澤)エマちゃん、善さんとみなさんと芝居ができて楽しかったです」

――この作品は田中さんにとってどのような存在になると思いますか?
「ワンカット100分、映像で長回しを経験できたのは自信になります。ただ他の作品も同じですが、関わったこと全てが今の土台となっているので、そこは変わらないかもしれないです。大変なこともありましたが、ぜいたくで楽しい時間を過ごせましたのは本当によかったです。多くの方に見てもらいたいです」

撮影=大川晋児 取材・文=玉置晴子 スタイリスト=荒木大輔 ヘアメーク=岩根あやね
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