「俳優・岡田健史」として爪痕を残した映画『死刑にいたる病』...高評価が集まる阿部サダヲとの息詰まる心理戦
2022.9.16(金)

有村架純の相手役を演じた「中学聖日記」(2018年)での鮮烈なデビュー以降、話題の映画やドラマへの出演が相次いでいる俳優・岡田健史(現・水上恒司)。『凶悪』(2013年)、『孤狼の血』(2018年)など数々の衝撃作で、日本映画界に革新をもたらしてきた白石和彌監督のサイコ・サスペンス『死刑にいたる病』(スターチャンネル1にて9月24日(土)に独占プレミア放送)では、阿部サダヲ演じる死刑囚に翻弄されていく大学生を熱演し、新境地を切り開いた。

(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
俳優デビュー作となった「中学聖日記」で、演技初挑戦ながら、有村扮する先生と禁断の恋に落ちる中学生・"黒岩くん"の真っ直ぐさと瑞々しさを見事に体現し、見る者の心をわし掴みにした。俳優という仕事に真っ白な心で懸命にぶつかっていく自身の姿と、先生への純愛を貫きながら大人になっていくキャラクターの姿がピタリと重なり、"黒岩くん"は視聴者にとって忘れがたい存在となった。
2022年9月からは本名・水上恒司名義で活動することが発表されたばかりだが、岡田健史としてクレジットされた最後の出演映画となった『死刑にいたる病』では、鬱屈と孤独に苦しむ大学生・雅也を好演し、俳優としての大きなチャレンジが大いに話題を呼んだ。

(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
理想とは程遠いランクの大学に通う雅也の元に、少年少女24人の殺人容疑で逮捕され、世間を震撼させた連続殺人犯・榛村(阿部)から、一通の手紙が届くことから始まる『死刑にいたる病』のストーリー。
「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人がほかにいることを証明してほしい」という、史上最悪とされた殺人鬼からの依頼。中学生の頃に榛村が営むパン屋に足を運んでいた雅也は、榛村の願いを聞き入れて事件を独自に調べ始めていくことになるのだが、その過程で巻き起こる、榛村と雅也のスリリングな心理戦が大きな見どころだ。

(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
既に死刑判決を下されている中で、成人女性が殺害された最後の事件だけ、冤罪を主張する榛村。雅也が周辺人物に話を聞くだけでも、榛村を悪く言う人は誰一人としておらず、皆が彼を好きになる...。常に穏やかな笑顔をたたえ、誰もが心を許してしまうような男・榛村を、阿部が説得力たっぷりに演じている。吸い込まれそうな黒い目からは得体の知れない恐怖を感じさせ、不思議な魅力をもった連続殺人鬼役に命を吹き込む阿部の演技力は、さすがの一言だ。

(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
1件の冤罪事件を巡り、二転三転する真実――雅也は、榛村の言葉1つ1つに驚き、喜び、彼に強いつながりを感じていく中で、次第に自分でも知らなかった感情を剥き出しにしていく。"完璧なサイコパス"を体現した阿部を相手に一歩も引けを取らず、翻弄されていく雅也の混乱を表現した岡田の芝居もあっぱれだ。
面会室での榛村と雅也の対峙シーンだけでなく、雅也が衝動的な怒りを表出させる場面も目を見張る迫力があり、本作からは岡田が大人の俳優として確実に進化していることが見て取れる。息つく暇のない心理戦の応酬と共に、改めてじっくりと見直したい1作だ。
文=成田おり枝
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