柳楽優弥&黒島結菜、実力派俳優同士の演技バトルに息をのむ!映画「夏目アラタの結婚」
2025.6.24(火)
2004年、当時14歳で第57回カンヌ国際映画祭の男優賞を史上最年少で受賞した俳優・柳楽優弥。その後、さまざまな役を演じて演技の幅をさらに広げ、今やエンタメ業界をけん引する役者の1人として活躍している。一方、2013年に映画「ひまわり~沖縄は忘れない あの日の空を~」で女優デビュー後、連続テレビ小説や大河ドラマなどに出演し、2022年には連続テレビ小説「ちむどんどん」でヒロインを務めて国民的女優となった黒島結菜。そんな演技の実力は折り紙付きの2人が、ドキドキハラハラする演技バトルを繰り広げる作品が2024年の映画「夏目アラタの結婚」だ。
同作品は、乃木坂太郎の同名漫画を堤幸彦監督が映画化した獄中サスペンス。柳楽演じる元ヤンキーの児童相談所職員・夏目アラタが殺人事件の真相を探るため、黒島演じる"日本で最も有名な死刑囚"品川真珠にプロポーズする。当初はどこか怪しげな真珠だったが、面会室でアラタと接する中で印象を変えていき、不思議な魅力を醸し出し始める...。
柳楽と黒島といえば、柳楽の連続ドラマ初主演作「アオイホノオ」(2014年、テレビ東京系)で、黒島が連続ドラマ初出演を果たしており、既に共演を果たしているのだが、当時はサブヒロインのような役どころで、それから10年がたち、ガッツリと芝居を交わすのはこの作品が初となる。共に実力派同士の掛け合いは、まさに見どころ満載で、観ているこちらも一瞬も気の抜けない心理戦を伴う会話劇を展開してくれている。
■面会室で繰り広げられる心理戦の応酬に引き込まれる
(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会
柳楽演じる児童相談所職員のアラタは、連続殺人事件の被害者遺児である山下卓斗(越山敬達)から「父を殺した犯人に代わりに会ってほしい」という依頼を受ける。卓斗はいまだ発見されていない被害者である父親の首の所在を突き止めようと、アラタの名をかたって獄中の真珠と文通をしており、真珠から「会おう」と提案されたために、アラタに依頼したのだった。そういった背景の下、疑念いっぱいの中で真珠と会うことになったアラタは、自分が手紙の主ではないことが露見しそうになり、とっさにプロポーズをしてしまう。やがて引くに引けなくなってどんどん深みにはまっていく。そんな展開の中、少し荒っぽいが優しさや思いやりがある一方、岐路に立つとリスクを顧みず飛び込んでしまうところがあるアラタを、柳楽はしっかりと一貫性を持って熱演。真珠に対する印象や思い、対応などが変化していく中でも、アラタという人間性の軸のようなものはブレずに演じ切っている。それ故、ラストに差し込まれる回想シーンが胸を打つという、にくい演出をより効果的に表している。
一方、黒島演じる真珠は、どんな人間なのかが分かりづらく不気味な存在として描かれており、アラタを翻弄していくキャラクター。そんな彼女を演じる黒島の怪演が圧巻。まさにホラー映画の怖すぎる殺人鬼といった様相でありながら、全てが計算づくで、終始真珠の手のひらの上で踊らされているような不安感を掻き立てられる不気味さと狡猾さを併せ持ったキャラクター像を作り上げている。この黒島の"どこまでが本当でどこからが嘘なのか判じ得ない不穏なキャラクター作り"が作品のエンジンとなって物語を進めていくからこそ、サスペンス要素が色濃くなって濃度の高いエンターテインメント性を担保している。加えて、ラストで明かされる真珠の人となりにおいても、見事な伏線回収を成立させるつじつまの合った演技となっており、ただの怪演では収まらないところが、見終わった後に一層、彼女の演技の奥深さを痛感させられてしまう。
そんな2人が展開する面会室のシーンの緊張感たるや筆舌に尽くしがたい。一手でも間違えるとすぐさま繋がりが断たれてしまうような、薄氷の上を歩くような感覚でありながらも、それを真珠に悟らせないようにしつつ、彼女の本心を探ろうとするアラタ。対する真珠は、手紙の主がアラタでないことには気付いているような感じであるが、もしかしたら気付いてないのかもしれないという、本心どころか"狙い"さえも読めない会話劇を展開。1枚のアクリル板ごしに繰り広げられる心理戦の応酬は、誰しもが引き込まれてしまうはずだ。
深く掘り下げた役作りの上で表現されたキャラクターを通して、言い回し、口調、間、トーン、身振り手振りなど、さまざまな技を駆使して繰り広げる2人の演技バトルを見届けてほしい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
夏目アラタの結婚
放送日時:2025年7月2日(水)15:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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