松嶋菜々子と真田広之のW主演でジャパニーズホラー金字塔となった作品「リング」
2025.6.24(火)
鈴木光司のミステリーホラー小説を原作に1998年に松嶋菜々子と真田広之のW主演で映画化されたのが、ジャパニーズホラーブームの火付け役となった「リング」だ。メガホンをとったのはハリウッドリメイク第2弾や、最新作「貞子」(池田エライザがヒロイン)を手掛けた中田秀夫。プロデューサーは、ドラマ「こんな恋のはなし」を見たことで真田、松嶋にオファーしたという。
(C)1998「リング」「らせん」製作委員会
その後、「リング」はアメリカでも大ヒット、貞子が世界的に知られるアイコンになったのは記憶に新しい。そして松嶋はその後も女優として第一線で活躍、NHK連続テレビ小説「あんぱん」で嵩(北村匠海)の母親役を演じている。真田は、「ラストサムライ」以降アメリカに拠点を移し、米ドラマ「SHOGUN 将軍」に主演。2025年のタイム誌で「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選ばれた。
■不安と恐怖に侵食されていくTVディレクターのヒロインを松嶋が演じる
とある呪いの噂を女子中学生たちに取材していた玲子(松嶋)は、ビデオを見た1週間後に突然死した高校生たちがいることを知って、局の同僚に彼らが通っていた高校についての調査を依頼する。そんなタイミングで届いたのが親戚の智子(竹内)の突然の訃報。葬儀に参列し、智子が不審な死を遂げたらしいことを聞き、通っていた高校の名前を知って顔色を変える。
そして智子たちが伊豆のパシフィックランドで撮った写真の様子がおかしいことが分かり、伊豆での調査を行うことを決める。そこで、フロントの棚に並べられた映画のビデオの中からラベルに何も書いていないテープを発見し、部屋で映像を再生し、呪いにかかってしまう。
当時20代半ばの松嶋は、呪いについて報道する側が当事者になり、心が崩れていく玲子を熱演している。葬儀に行って以来、様子がおかしくなった息子の行動に悲鳴をあげ、相談に乗ってもらった元夫の竜司の前で泣き崩れて取り乱すなど、生命のタイムリミットに怯え、端正な顔が恐怖で歪む中、自身の母性とも向き合う難役に挑戦した。
(C)1998「リング」「らせん」製作委員会
■真田は果敢に呪いのビデオの謎を解こうとするもうひとりの主人公
超能力の持ち主で、大学の非常勤講師でもある竜司(真田)は玲子の相談を受けて呪いのビデオを分析。ぐちゃぐちゃに乱れて歪んだ文字の中ではっきり見える"噴火"という単語と、ノイズまみれの音声が大島の方言であること、そして昔、その地には予言者の女性がいたという情報を元に玲子と大島に向かう。
玲子が我を失っていくのに対して竜司は常に冷静だ。頭の中に浮かぶモノクロームのザラついた昔の映像をヒントに予言者の血縁関係に当たる人物に話を聞き、真相に迫ろうとする。暴走しかねない玲子のストッパーとなるポジションを演じた真田のシリアスで抑えた芝居が本作に重みを与え、貞子の正体が後半まで明かされないストーリー展開や視覚、聴覚に訴える演出と共に観客を震え上がらせた。
本作では「リング2」で主演を務めた中谷美紀や竹内結子、松重豊らも出演。謎のVHSテープを再生したら1週間後に死ぬという呪いの設定もさることながら、その映像や静寂に電話が鳴り響く音、時折、バックに流れる不気味な音も恐怖を加速させた。シリーズの出発点の傑作ホラーで松嶋と真田が見せた対照的とも言える演技に着目したい。
文=山本弘子
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