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IMP. 佐藤新×渡邉美穂、初共演で刺激しあえる関係に「プロフェッショナルだなと思いました」

2025.6.12(木)

映画「青春ゲシュタルト崩壊」に出演する佐藤新(IMP.)と渡邉美穂
映画「青春ゲシュタルト崩壊」に出演する佐藤新(IMP.)と渡邉美穂

佐藤新(IMP.)と渡邉美穂がダブル主演を務める映画「青春ゲシュタルト崩壊」が、6月13日(金)に公開される。

丸井とまとの小説を実写化した本作。「青年期失顔症」(個性を押し殺し、他人に合わせて自分を見失うこと=自分の顔が見えなくなる/架空の症状)を発症し、悩む朝葉(渡邉美穂)の異変に気づいたのは、顔見知り程度の同級生・聖(佐藤新)だった。事あるごとに気にかけてくれる聖と接することで自分自身を見つめる朝葉だったが、彼にも抱えているものがあって...。

今回は佐藤と渡邉にインタビューを実施。作品について、お互いの印象について、熱く語るふたりに注目しつつご覧いただきたい。

――まずは佐藤さん。ダブル主演が決まったときどんな状況だったのか、周囲の反応と合わせて教えてください

佐藤「歌番組の出番直前『行ってこい!』みたいなときに知らされたんですよ」

――すごいタイミングですね(笑)

佐藤「本当にサプライズ好きな事務所で...」

渡邉「エンタメだね」

佐藤「そうそう。仕事を伝える方法もエンタメなんです。そもそも滝沢さんがいたずら好き。重大な情報を日常会話のノリでさらっと言って、みんなが驚くのを見てニヤニヤしているような方なんです(笑)。
今回、出演を知らされたときはメンバーも一緒だったのですが、TOBE(佐藤の所属事務所)のことを知ってくださるひとつのきっかけにもなるし、メンバーが自分のことのように喜んでくれたのもすごく嬉しかったです」

映画「青春ゲシュタルト崩壊」に出演する佐藤新(IMP.)
映画「青春ゲシュタルト崩壊」に出演する佐藤新(IMP.)

――渡邉さんは公式コメントで「何かを手放すこと、辞めることは決して"逃げ"でも"甘え"でもない」と述べられていました。その真意をお聞かせください

渡邉「『逃げる』と言うとネガティブなイメージになると思いますが、自分が今までしてきたことを辞めて、別の道に進む、別のコミュニティに入るということは、『考え方を変えただけで、何かを手放したわけではない。人生はそれの連続だ』と私は思っています。
この作品でも、朝葉が『バスケ部を続けていていいのだろうか』と悩む描写があるのですが、続けることも正解だけど、辞めることも正解だと思うんです。途中で何かを手放すことは決してネガティブなことではないし、より良い方向に向かうために何かを辞めるということは、人生において普通にあることだと思います。私はこの作品を通して、こうした認識が当たり前になってほしいなと思いました」

映画「青春ゲシュタルト崩壊」に出演する渡邉美穂
映画「青春ゲシュタルト崩壊」に出演する渡邉美穂

――実際に演じながら、朝葉と聖の関係性についてどんなことを感じられましたか?

佐藤「聖と朝葉は、もともと仲がいいわけではないけど、お互いの存在は知っている独特の距離感なんです。あまり関わっていなかった2人だからこその雰囲気は面白いですし、すごく良いなと思いました。
この作品は恋愛映画ではないのですが、朝葉が聖と少しずつ距離を縮めていくシーンは素敵だと思いましたし、距離感の作り方は演じていてもすごく難しく、こだわったところでもあります」

渡邉「私にも『この子にだけは、なぜか弱音が吐けるな、悩みを相談できるな』という友人がいるんですよ。朝葉にとって、それが聖だったんですよね。自分がしんどいときに手を差し伸べてくれて、話を聞いてくれて、自分を否定しないでいてくれた...。私は、このふたりにしか分からない空気感があると思っています。
この年代の子たちは、男の子と女の子がふたりでいるだけで『何かあるんじゃないか』と言われがちですが、このふたりはそんな簡単なことでは片付けられないし、お互いが精神的な支柱になっていて必要としている。ある意味、素の部分を見せられる相手なんです。その関係の心地良さや温かさは、皆さんに楽しんでもらえるポイントなのかなと思います」

映画「青春ゲシュタルト崩壊」佐藤新(IMP.)
映画「青春ゲシュタルト崩壊」佐藤新(IMP.)

――撮影を終えてみてのお互いの印象を教えてください。まずは佐藤さんいかがでしょうか

佐藤「『用意...スタート!』となった瞬間に切り替わる人って、本当にいるんだなって思ったし、『本物を見た』って感じがしました」

渡邉「いやいや...」

佐藤「僕は本番前に少しずつ(役に)入るタイプなのですが、渡邉さんはスパって役に入るんです。もちろんシーンによってだとは思いますが、一瞬にして切り替わった姿を見て『目の前に俳優さんがいる!』、『本当にこういう入り方をする俳優さんが実在するんだな』と思いました」

渡邉「嬉しいです」

佐藤「単純にすごいなと思ったし、『どこにそんなスイッチがあるんだろう』って...すごく刺激になりました」

渡邉「泣きのシーンの前ではさすがに笑うことはないですけど(笑)、自然と使い分けをしているんですかね。あと、無音が恥ずかしくて、気まずくなっちゃうのが苦手というのもあります」

佐藤「そういうこと!?」

渡邉「特に意識しているわけではないのですが、演者の方は集中したいと思うので、逆に申し訳ないです」

佐藤「いやいや、心地良い空気感を作ってくださってありがたかったです」

――渡邉さんは佐藤さんについて、どんな印象をお持ちでしょうか?

渡邉「佐藤さんのことはプロフェッショナルだなと思っていました。セリフ量の多いロングシーンになってくると、どうしても集中力が切れたり、意識しているところが抜けたりしちゃうのですが、佐藤さんは集中が途切れないし、繰り返しやっても同じ熱量でお芝居ができる。しかも、回数を重ねるごとに良くなっていくんです。
佐藤さんは周りから言われて改善するというよりは、自主的に気づいて良くなっていくんです。カットがかかったあと、小さな声で『ここはこうしなきゃな』とおっしゃっているんですが、佐藤さんがあごに手をやったときは『集中モード』だということに気づきました」

佐藤「そうなんだ(笑)」

渡邉「そばで見ていても勉強になりましたし、刺激になりました」

映画「青春ゲシュタルト崩壊」渡邉美穂
映画「青春ゲシュタルト崩壊」渡邉美穂

――演者としてこの物語に触れたからこそ感じる丸井先生作品の魅力を教えてください

佐藤「身近な悩みを切り取っているからこそ、どんどんハマっちゃうというか。自分の実体験のことのように感じながら、物語にのめり込んでいけるのが、この作品のすごいところだなと思います。
こんなに共感性が高く、グサグサ刺さる作品に出会う経験って今までなかったので、衝撃を受けましたし、だからこそ『聖を演じるって責任感のあることだな』と感じました。緊張しながらではありますが、一生懸命演じさせていただきましたし、同じ悩みを抱えている人の一筋の光になれたらいいなって思います」

渡邉「『青年期失顔症』という症状を取り扱っているので、ただ楽しい青春映画というだけでなく、繊細な部分もしっかり描かれています。丸井先生の温かさや優しさが随所に忍ばせてあって、私は勝手に『誰の手も離さないぞ』というメッセージを受け取りました。
朝葉も聖も、それ以外の人たちも、各々が抱えているものと向き合って、周りと支え合いながら明るい未来に向かっていく。なかには、朝葉を傷つける人も出てくるのですが、そういう方たちも傷つき傷つけ合って大人になっていく...その背景みたいなものがイメージできました。このお話には『誰かを懲らしめてやろう』とか『悪者に仕立ててやろう』という悪意や濁りが一切ない。読んでいるとグッと食らう部分もあるのですが、希望に溢れる作品だなと感じました」

取材・文・写真=浜瀬将樹
<佐藤新>
スタイリスト=山本隆司(style3)
ヘアメイク=大森創(IKEDAYA TOKYO)
<渡邉美穂>
スタイリスト=コギソマナ(i o)
ヘアメイク=高 千沙都 (※「高」は正しくは「はしご高」)
衣装
ブラウス/idem ワンピース/Fumiku
イヤリング/アビステ 右手リング,左手リング/KIRIHA
サンダル/銀座かねまつ6丁目本店(銀座かねまつ)

映画情報

映画「青春ゲシュタルト崩壊」
2025年6月13日(金)公開