清原果耶&小芝風花、実力派俳優の2人が芝居の掛け合いで役の関係性の深みを表現した「invert 城塚翡翠 倒叙集」
2025.6.5(木)
2021年、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合ほか)で、10代としては異例となるオーディションなしでの起用で主演を務めた清原果耶。同年の映画「護られなかった者たちへ」で第45回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞すると、その後も2023年には初出演となる舞台「ジャンヌ・ダルク」で初主演を務め、第31回読売演劇大賞・杉村春子賞に輝くなど、若手実力派俳優の雄である存在だ。
一方で、現在放送中の大河ドラマ「べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK総合ほか)で、妖艶さや儚さ、切なさ、粋などを見事に表現して、伝説の花魁・五代目瀬川を演じ切ったことで話題の小芝風花。そんな演技派俳優の2人が見事な掛け合いを見せてくれる作品が、ドラマ「invert 城塚翡翠 倒叙集」(2022年、日本テレビ系)だ。
清原と小芝は、かつて連続テレビ小説「あさが来た」(2015~2016年、NHK総合ほか)に出演していたのだが、その時は共演はかなわず、ドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」(2022年、日本テレビ系)及び本作で初共演を果たした。しかし初共演ながら、清原は主人公の翡翠として、小芝は翡翠を仕事とプライベートの両面から支えるアシスタント・千和崎真として、初めてとは思えないほどの息の合った掛け合いで、互いの役や役の関係性の"深み"をより濃くしている。
本作は相沢沙呼の人気ベストセラー小説をドラマ化したもので、"犯人が視える能力"を持つ霊媒師・城塚翡翠と、論理的な思考を持ち、警察からも一目置かれる推理作家・香月史郎(瀬戸康史)が数々の事件に挑む新感覚ミステリードラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」と併せて2022年の10月クールに放送されたもの。「倒叙集」というタイトルの通り、犯人たちの視点から描かれた倒叙ミステリーとなっており、犯人のもとに訪れた翡翠がどのようにして犯人を追い詰めていくかが描かれる。
■清原果耶と小芝風花が描き出す、翡翠と真の関係性の深さ

ドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」と比較すると、あらかじめ犯人の事情を説明する時間を要するため翡翠の霊能力シーンは減っている。しかしその分、さまざまな状況から翡翠が真実に迫っていく姿、犯人が言い逃れできない証拠や発言を引き出す姿が描かれ、 "翡翠がどのように確証を得るに至ったか"という角度で推理を楽しむことができる構成になっている。そんな中で、香月がドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」で退場したこともあり、翡翠と真の会話シーンが多くなっているのだが、この2人の掛け合いが絶妙なのだ。
例えば、翡翠はちょっと変わった雰囲気のお嬢様で、全てを見通せることから基本的に達観したような言動が印象的なのだが、そんな中にも、おっちょこちょいなところや負けん気が強いところがあったり、気を許せるのは真しかおらず、他人との接し方をよく知らなかったりと、人間的な部分が出る瞬間が真との掛け合いから表現されている。真は雇用主と従業員という関係でありながら翡翠の友人でもあり、時に母のように翡翠のメンタルまでもケアしているという、2人だけの特別な信頼でつながっていることが、彼女たちのやり取りで描かれている。

この"役の深部"を描写する大切なシーンを、清原と小芝は丁々発止な掛け合いで表現。清原は"霊媒探偵"から離れた若い女性のかわいらしさやあどけなさを表すことで1人の女性としての翡翠を描き出し、小芝はちゃきちゃきとした"男前"な女性として真を演じて、"いびつな形のピース"である翡翠に"ぴったりとはまる唯一無二の形をしたピース"のパートナーとして存在。特に、"わざととぼける翡翠を、真が頭をはたいて注意する"というシーンなどは、息の合った掛け合いが見られる。
ミステリーの醍醐味である推理はもちろんだが、実力派俳優の2人が織り成す芝居の掛け合いで表現する役と役の関係性の"深み"にも注目することで、キャラクターが紡ぐ人間物語という楽しみ方も味わえることだろう。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
invert 城塚翡翠 倒叙集
放送日時:2025年6月14日(土)20:55~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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