佐藤流司、30歳で刻んだ原点と現在 4th写真集『Reason』に込めた思い
2025.5.8(木)
30歳という節目に、自身4冊目となる写真集『Reason』を完成させた佐藤流司。タイトルに込めたのは、これまで歩んできた道のりと、今ここにいる「理由」への静かな誇り。舞台となったのは、自身が生まれ育った故郷・仙台。懐かしさと変化に揺れる街で撮影を重ねながら、過去と現在、そして未来をつなぐかけがえのない一冊が生まれた。すべてを込めた写真集について、今の思いを語ってもらった。
――30歳という節目に発売される今回の写真集。まずは、完成したものをご覧になった率直な感想をお聞かせください
「正直なところ、自分ではまだ完成品の良し悪しを判断できていないんです。ただ、自分がやりたかったことを全力で詰め込んだという手応えはありますし、ここまで来たらあとは受け取った皆さんにどう感じてもらえるかだと思っています。芝居にしても音楽にしても、自分が表現できることはすべてやりきったつもりです」
――ファンの方に託す、という感覚なんですね
「はい。やれるだけのことはやったので、あとは皆さんそれぞれの視点で楽しんでもらえたらうれしいです。作品って、発信する側がすべてコントロールできるものではないですし、むしろ自由に受け取ってもらったほうが健全だと思っています」
――今回のタイトル『Reason』は、ご自身で考案されたそうですね。どのような思いを込めたのでしょうか?
「これまでも、作品のタイトルには『R』から始まる言葉を使うというマイルールがあったんです。今回もそれを守りながら、20代最後の写真集にふさわしい言葉を探していました。『Reason』には、"今ここにいる自分の理由""歩んできた人生の理由"という意味を込めています。この一冊が、自分自身の軌跡を少しでも形にできたらと思っています」
――ご自身の歩みを振り返る意味合いも強いのですね
「はい。たくさんの偶然や選択が積み重なって、今の自分がある。その流れを一度立ち止まって見つめ直す、そんなきっかけになればと思っていました」

『佐藤流司4th写真集 Reason』より (C)大靍円/講談社
――そもそも30歳という節目で写真集を出したいという思いは以前からあったのでしょうか?
「ありました。今はスマホで簡単に写真を撮れる時代ですけど、やっぱり紙という形でしっかりと残るものを作りたかったんです。デジタルデータは便利だけど、時間が経つと忘れてしまったり、どこかに埋もれてしまったりする。でも紙の本なら、ふとした瞬間に手に取って思い出に浸ることができるじゃないですか。そういう未来への贈り物みたいなものを作っておきたかったんです」
――ご自身の記録としても、大きな意味を持つ一冊になったわけですね
「30歳というのは、ひとつの区切りだと思っているので。このタイミングで残せたことに、すごく意味を感じています」
――撮影は故郷・仙台で行われました。久々の地元はいかがでしたか?
「懐かしい場所もありましたが、街の景色はずいぶん変わっていましたね。新しい建物ができていたり、昔あったお店がなくなっていたり。懐かしさと、少しだけ寂しさと、それでも新しい発見にワクワクする気持ちと...いろんな感情が入り混じっていました。でも、実際に帰ってみると、やっぱり地元には特別な感情があるんだなと気づきました。たとえ意識していなくても、体のどこかに染みついているものなんだなって思いましたね」

『佐藤流司4th写真集 Reason』より (C)大靍円/講談社
――普段はあまり帰省されないそうですが
「ほとんど帰ってないです。移動も大変ですし、実家に帰ると両親にも『帰ってきてもいいけど、働け』って言われるので(笑)。今回の撮影で、仕事を理由に久しぶりに帰れたのは、すごくありがたかったです」
――撮影では、思い出深いライブハウスにも訪れました
「人生で初めて、自分の意思でライブを観に行った場所がそこだったんです。震災の影響で建物自体は変わっていましたが、名前だけは当時と同じで。中に入ったときも、当時の面影は正直あまり残っていなかったのですが、当時スタッフだった方がまだいらっしゃっていて。久しぶりに言葉を交わすことができたのは、すごくうれしかったです」
――今回の撮影では、制服姿にも挑戦されました。着てみていかがでしたか?
「素直に言うと、さすがに照れくさかったです(笑)。ただ、これが本当に最後だろうなという気持ちで臨みました。大人になればなるほど、制服ってどこか別世界のものになっていくじゃないですか。だからこそ、今のうちに写真として残しておきたかった。高校時代に通っていた学校の制服もブレザーだったので、当時の自分を少しだけ思い出すような感覚もありました」
――年齢を重ねても制服を着られるのは、役者としての仕事ならではですよね
「そうですね。プライベートで着ていたら完全にヤバい人なので(笑)。仕事だからこそできる、ある意味貴重な体験ですね」

『佐藤流司4th写真集 Reason』より (C)大靍円/講談社
――ゲームセンターでの撮影もありましたが、こちらも思い出の場所だったとか
「本当に、当時よく遊んでいた場所です。仙台の劇団ひまわりの養成所に通っていたのですが、レッスンが終わったあとに同期の友達と寄り道して遊んでいました。特にコインプッシャーゲームが好きで、コインがジャラジャラ押し出される感覚がたまらなく楽しかったんです」
――リラックスの場だったんですね
「うるさい場所のほうが、余計なことを考えずに済むというか。音楽をやっていたせいもあるのかもしれませんが、雑音が心地よく感じることがあるんです。だから、ゲーセンに行くと自然とリフレッシュできる感覚がありました」
――今もゲームセンターには行かれますか?
「東京に出てきたばかりの頃はたまに行っていましたが、最近はほとんど行かなくなりました。でも、たまにふと思い出すことはあります」
――撮影の合間、仙台で何か思い出に残る出来事はありましたか?
「『仙台っ子ラーメン』という、子どもの頃から通っていたラーメン屋さんに行けたことです。懐かしかったです。家系に近いラーメンで、仙台周辺にはチェーン展開しているお店なのですが、昔と変わらない味で、すごく安心しました」
――バタバタの2日間だった中でも、懐かしい味に癒やされたわけですね
「短い時間でしたが、地元で過ごす時間が持てたことは本当にうれしかったです。仕事にかこつけて行けた仙台、という感じでしたけど(笑)、とても大事な2日間でした」

『佐藤流司4th写真集 Reason』より (C)大靍円/講談社
――今回、撮影で訪れた仙台でファンにおすすめしたいスポットはありますか?
「撮影で訪れた『EBeanS(イービーンズ)』という商業施設です。楽器屋さんも入っている大きなビルで、若い頃はずっと入り浸っていました。あそこで楽器を見たり、CDを探したり、ゲーセンに寄ったり...あの頃の自分が過ごした空気を感じてもらえると思います」
――ある意味、今回の写真集は聖地巡礼マップにもなりそうですね
「なればうれしいですね(笑)。当時の俺が吸っていた空気を、少しでも感じてもらえたら」
――今回の撮影の中で、特に印象に残っているカットは?
「白い衣装をまとって踊るカットですね。最初にその衣装を身にまとって、写真集の核になるような撮影をしました。このカットは、単なるお気に入りというより、今回の写真集の意味そのものを象徴している気がしていて。役者として、表現者として生きていく自分の決意を、静かに、力強く表していると思っています」

『佐藤流司4th写真集 Reason』より (C)大靍円/講談社
――成人式で着られなかった袴姿も、今回の写真集で実現されましたね
「20歳のときは、もう東京で仕事をしていたので、地元に帰ることができなかったんです。成人式は参加できず、そのまま時が過ぎてしまって。だから今回、写真集の中で袴を着られたことはすごくうれしかったですね」
――実際に着てみた感想は?
「重みみたいなものはあまり感じなかったです。むしろ自然体でいられたというか。舞台で着物を着ることもあるので、特別な緊張感はなかったですが、改めて日本人でよかったなと思える時間でした」
――帯にはご両親からのコメントも寄せられています。これも佐藤さんの発案だったとか
「普通は仲間の俳優さんからコメントをもらうことが多いと思うのですが、それだと面白くないなと思って(笑)。だったら、両親に書いてもらおうと。あまり見かけないパターンだと思ったので、面白い試みになったと思います」
――ご両親はすぐに快諾されたんでしょうか?
「最初は軽くボケたりしていたのですが、何回かやりとりして、使われているコメントになりました(笑)。最終的には、すごくいい言葉を寄せてもらえたと思っています」
――ご両親との関係性も垣間見えますね
「普段から頻繁に連絡を取るわけではないですが、月に一度くらいはやり取りしています。今回こうして写真集に関わってもらえたことも、すごくありがたいなと思っています」
――改めて、今回の写真集はご自身にとってどんな一冊になりましたか?
「毎回、写真集を作るたびにこれが最後でもいいと思って臨んでいます。今回も、もしこれが最後になったとしても、自分自身が納得できる一冊になったと思っています。振り返ったときに『30歳の自分はこんなふうに生きていた』と胸を張れるような、そんな作品になった気がします」
取材・文=川崎龍也
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