清野菜名の「静」と「動」がどちらもナチュラルで美しい!2025冬ドラマの秀作「119 エマージェンシーコール」
2025.4.30(水)

「横浜市には377万1000人の人が住んでいます。全ての119番通報を受けているのが、ここ横浜市消防局消防司令センターです。去年1年間にかかってきた通報の数は37万3121件、平均すると1日当たり1022件、およそ1分25秒に1回通報があり、2分4秒に1回、救急車を出動させていたことになります」
これは消防司令センターの3係係長である高千穂(中村ゆり)が、見学に来た小学生に自分たちの仕事を説明したセリフ。24時間体制交代制で119番にかかってくる電話を受け、通報者が陥っている状況を把握した上で救急車を向かわせるかどうかを判断するのが、ドラマ「119 エマージェンシーコール」に登場する指令管制員(ディスパッチャー)だ。

主人公・粕原雪(清野菜名)は新人管制員。以前は銀行で働いていたが、あるとき決断して消防隊員の採用試験を受け、合格。2年間の現場勤務を経て、自ら司令課への異動を希望してきた。一度聞いた声は忘れないというぐらい耳が良く、集中力にも長けているので、通話の応答の中でわずかなヒントとなる情報を見落とさない。1分25秒に1回通報があるというだけに、ほとんど休む間がない中、交通事故や火災などの緊急事態に直面している電話の向こうの人を救うため、奮闘していく。
■清野菜名演じる雪は「現場主義」な新人管制員

雪はあっけらかんとした明るい性格だが、誰よりも仕事熱心。夜勤明けで早朝勤務が終わった後も、その当番中に通報があった現場に寄って帰る。火災現場や交通事故の現場には消防士や警察官がいて、まだ事件発生時の混乱ぶりが生々しく感じられる中、雪は、通報時にもっと的確な応答・誘導ができなかったか、もし次に同じような事件が起こったら、今回の反省が活かせないかと、情報収集する。
この「現場主義」は月9ではおなじみ。「HERO」シリーズで木村拓哉が演じた久利生検事や、「イチケイのカラス」の入間裁判官(竹野内豊)など、本来はオフィス内で提出された書類などを基に状況を判断すべき彼らが、「いや、事件は現場で起きているんだ」とばかりに現場検証をする。そんな彼らに周囲は振り回されるというのが、事件解決ものの王道パターンだ。

雪も、新人研修時の指導係であった兼下睦夫(瀬戸康史)や現場の消防士たちには、余計なことはするなと警戒される。しかし、雪が「異臭騒ぎのあったショッピングセンターにはお掃除ロボットがいる」など、現場に行かないとわからない情報から「人を助ける確率」を少しずつ着実に上げていくので、兼下も認めざるを得なくなる。そうして雪のまっすぐな思いが、周囲を引っ張っていく。
雪役の清野は月9初主演。もともとはアクションの得意な彼女だが、勤務中は制服を着てモニターの前にじっと座り、「119番、消防です。火事ですか、救急ですか」と電話を受けた後は、ひたすら頭脳と神経と口だけを動かすという役どころを好演している。彼女らしいのは、自宅から職場まで走ってきているという通勤時の姿や大きめのダウンジャケットを着て現場を歩き回る様子。緊張感ある「静」の演技と軽やかな「動」の演技、その両方が楽しめる。
そして、何よりアップにも耐えうる清野の透き通るような美しさが、残酷なことも起こる救急の世界で救いになっている。少し長めのウエーブヘアで、30歳になった今ならではの大人っぽさを漂わせつつも、演技があくまで自然体なので、女性から見ても男性から見ても魅力的だ。この役を誠実に演じようとする清野のひたむきさと、雪の懸命な仕事ぶりがマッチして、月9ヒロインらしいハマり役になった。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
119 エマージェンシーコール
放送日時:2025年5月21日(水)12:10~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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