永作博美と西島秀俊が描き出した愛憎渦巻く濃密なヒューマンサスペンス「ドラマW 蛇のひと」
2025.4.17(木)
親しみやすい笑顔とナチュラルな演技に定評のある永作博美と、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞に輝いた「ドライブ・マイ・カー」で国際的な評価をさらに高めた西島秀俊。日本エンタメ界で確固たる地位を築いている2人が共演を果たしたのが、2010年制作の「ドラマW 蛇のひと」だ。
商社に長年勤める三辺陽子(永作)が、ある日いつものように出社すると、部長の伊東(國村隼)が自殺したという報せに社内は大混乱していた。その上、頼りになる課長・今西(西島)が出社せず、行方不明に。今西が不在のまま執り行われた部長の葬儀の後、副社長に呼び出された陽子は、今西が会社の金を横領した罪で姿を消している疑いがあり、その証拠を伊東部長が握っていたことを聞かされる。そして、副社長直々に今西の行方を探すよう命じられる...。
第2回WOWOWシナリオ大賞に輝いた完全オリジナル脚本を映像化した本作。永作が演じるのは、明るくしっかり者で社内でも頼りにされている陽子。今西の行方を捜すという役目を会社上層部から課せられたことをきっかけに、誰からも「いい人」と言われる今西の過去や、どこか掴みどころのない雰囲気の根源へと迫っていく陽子を、永作はくるくると変わる豊かな表情で演じている。
そして、西島が演じる今西は、柔らかい関西弁が特徴の人気者。陽子を始めとする関係者の回想からパーソナリティーが浮き彫りになっていく今西は、その声や言葉に宿る力で他者の心を思い通りに動かしてしまうミステリアスな存在だ。西島は、穏やかで優しい微笑みを浮かべながらも目の奥がどこか冷たくも見える、そんな複雑な表情とリズミカルなセリフ回しで今西というキャラクターを作り上げていった。
永作演じる陽子が、部下の田中一(田中圭)や今西の友人の元妻で保険外交員・柴田のりこ(ふせえり)らとの会話から今西の新たな側面を知っていく、その過程を通して視聴者の中にも作り上げられていく"今西像"。すごく頼りになる好人物として皆の記憶に残るものの、陽子は今西が関わったすべての人が微妙に不幸になっていることに気付く。それを機に、物語は少しずつ不穏な空気に。これまでは、関係者の証言からヒントを得て今西を探すという謎解きミステリーのような要素が強かった物語が、大阪にある今西の実家を訪ねた陽子が、彼の幼なじみ(板尾創路)から今西の過去を聞くシーンからは一変。愛憎渦巻く濃密なサスペンスへとシフトしていく。
今西の壮絶な過去を知った陽子が、遠距離恋愛中の婚約者(ムロツヨシ)に会いに行くクライマックスで、ついに向き合う陽子と今西。その時の永作と西島の間に流れる、緊迫しつつも奥底に愛が確かに流れる空気感は、実力派俳優の2人だからこそ生み出せたものと言えるだろう。
どこか暗い雰囲気が漂うドラマに明るさをもたらす田中圭など、脇を固めるキャスト陣も豪華な本作。永作と西島の演技合戦に注目しながら、人間の多面性を鋭く描いた上質な大人のためのドラマを最後まで楽しんでほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
ドラマW 蛇のひと
放送日時:2025年5月10日(土)9:00~、2025年5月29日(木)11:30~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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