【革命的】白黒テレビをネットに繋いで、Netflixで映画を観たら感動した
2024.10.23(水)

ここ最近、巷ではさまざまな動画オンデマンドサービスが展開されており、ネットで簡単に映画や海外ドラマを視聴するのが当たり前の時代になっています。これらはスマホや高画質のテレビ、PCで観るのが一般的ですが、もし「昔の白黒テレビ」に映したら、どのように映るのでしょうか。
「Netflix」「Hulu」「Amazonプライム・ビデオ」「dTV」などなど、世の中には多数の動画オンデマンドサービスが溢れています。複数のサービスに加入し、毎晩のように映画や海外ドラマを楽しんでいる方もいるのではないでしょうか。

動画を観る方法としては、持ち運び易いスマートフォンや、解像度が高いテレビやPCを使うことがほとんどだと思いますが、僕はこれに関して声を大にして言いたいのです。
「動画を観る箱は、最新のガジェットじゃなくて良いのでは?」と。
例えばファッションであれば「古着」を着るのがカッコよかったり、カフェであれば「純喫茶でコーヒーを飲むのがインスタ映え」だったり、「90年代の音楽がリバイバルされてイマ風」になっていたりと、「昔のものが良さげ」という風潮があるじゃないですか。
でもなぜかIT業界は、「最新、サイシン」と、過去を振り返らない傾向にあると思うんです。最新のガジェットと最新の動画配信サービスを組み合わせても、そこには便利さだけが残るだけ。
過去から作り上げてきたものがたくさんあるのに、それを使わないのはもったいないと思うんですよ。

ということで今回は、「インターネットの動画を古いテレビで観る」実験をしてみることにしました。
現代の最新技術で作った映画やドラマを、ブラウン管テレビで観てみたら絶対に新鮮だと思うんですよね。スマホやテレビとは違ったおもむきで観られるし、インテリアとしてもかっこいいはず。これ絶対流行る。
が、インターネットでその方法を調べようにも、全く情報を見つけられません。要するにこれは、まだ誰もやったことがない(試そうと思ったことがない)実験ということ?
ゆえに、僕のようなガジェット素人の力ではこの実験を成功させるのが難しそうだったので、ある方に相談してみることにしました。
昔の家電のことを聞くならこの人! 家電蒐集家・松崎順一さん

相談したのは、家電蒐集家の松崎順一さん。
松崎さんは1970年代以降の家電製品を発掘・蒐集し、整備・カスタマイズをしてイベントやアート展を企画する、古家電のスペシャリスト。
最近はテレビドラマの仕事も多く、NHK「ひよっこ」の家電系の演出はすべて松崎さんが行っているそう。そして「カセット好き」繋がりということもあって、星野源さんと友達らしい。取材中に「ゲンさん」と言いはじめて、誰かと思ったら星野源さんだった。とにかくマジですごい人です。

松崎さんのアトリエ「デザインアンダーグラウンド」は、歩くスペースと仕事をするスペース以外、全てが古い家電で溢れています。どこでどのように古い家電を見つけてくるのかを聞くと、「それは企業秘密」とのこと。

![]()  | 今回はネット動画をブラウン管テレビで観たい、ということでしたが…。 | 
![]()  | そうなんです。現代の動画配信サービスと過去のモノクロテレビを掛け合わせたら、とても新鮮なのではないかと思いまして。 | 
![]()  | 面白いですね。ぜひやってみましょうよ。 | 
![]()  | ありがとうございます。って、あ、松崎さん、それって…。 | 

![]()  | はい、先ほど引っ張り出してきた、モノクロのブラウン管テレビです。 | 
![]()  | おおおおおお! あれ、でも思ったよりも小さくないですか? | 
![]()  | はい。これは70年代にSONYが販売していた「Mr.ネロ」というポータブルテレビです。70年代はラジカセや電話、そしてテレビと、様々な家電が外に持ち運べるように工夫されていたんです。 | 
![]()  | では、これはいかにも70年代って感じなんですね。でもなんで「ミスターネロ」と言うんですか? | 
![]()  | これ実は、画面の部分が回転するんですよ。 | 

![]()  | え! すごい!! | 
![]()  | 回転するということは、要するに、寝ながらテレビが見れるんです。 | 
![]()  | 「ミスター寝ろ」ってことですか。 | 
![]()  | 昔の家電は、このようにダジャレを使ったネーミングが多かったんですよ。 | 
松崎さんの事務所には、赤色の「ミスターネロ」も置いてあった。カッコ良い。「RFコンバーター」を使え! 昔のテレビをネットを繋ぐ方法

![]()  | それでは本題に入りたいと思うのですが…。このテレビをネットに繋ぐには、どうすればいいのでしょうか。 | 
![]()  | そうですね…、例えば長橋さん。ご自宅にあるテレビでネットの動画を見る時、どのように観てますか? | 
![]()  | えっと、テレビのHDMI端子やUSBポートに、AmazonのFire TV StickやChromecastなんかを繋いで…。 | 
![]()  | そうですよね。今はそういったものを繋げば、簡単に観ることが出来ます。ただ、古いブラウン管テレビの場合、これらは使えないんですよ。HDMI端子やUSBは70年代になかったものですから。 | 

![]()  | というと、なかなか難しそうですね。そういえば、ファミコンを遊ぶ時に繋いでいた、赤と黄色のケーブルとかはどうなんでしょう。あれって動画を変換するときに使うものでしたよね? | 

![]()  | お。よくご存知ですね。これはコンポジットケーブル(RCA端子)というものなのですが、今回の実験にこれは不可欠です。 | 
![]()  | そうなんですか! これなら簡単に手に入れられそうです。というか松崎さんにお借りできれば! | 
![]()  | 長橋さん、残念ながらコンポジットケーブルを繋ぐだけではできないんです。旧型のモノクロテレビには、コンポジットケーブルを繋ぐ穴さえないんです。 | 
![]()  | なんということでしょう。 | 

![]()  | コンポジットケーブルを繋ぐ「外部入力端子」は、80年代くらいのテレビから導入されたので、60年代〜70年代のモノクロテレビには繋げないんです。なので、ここからがかなり難しくなってきまして。 | 
![]()  | まじですか。ではどうすれば良いのでしょうか…。 | 
![]()  | やりようはぜんぜんあります。簡単に説明するとですね。 | 

地上デジタル放送になる以前のテレビには必ず「アンテナ」が付いています。アンテナに、パソコンから出力した動画を飛ばせばテレビに映るのです。それには「RFコンバーター」という機械が必要になります。これを手に入れるのが厄介でして。
![]()  | RFコンバーター? | 
![]()  | RFコンバーターは、アナログ放送の空きチャンネルに電波を飛ばすことが出来る機械です。これとPCを繋げば、PCで流れている動画をブラウン管テレビに映すことが出来ると思われます。空きチャンネルとは、簡単に言うとテレビ局が使っていないチャンネルのことで、関東地方では2・5・7・9・11チャンネルが空きチャンネルでした。 | 
![]()  | そういえば、ファミコンもテレビに接続する際、真っ暗な2チャンネルに映していた気がします。 | 
![]()  | その通りです。で、先ほど手に入れるのが厄介と言いましたが、「RFコンバーター」は地上デジタル放送への移行に伴って販売終了するメーカーが増えたので、過去に作られたものしか購入できないんですよ。 | 
![]()  | ということは、中古とかで買うしかないと…。 | 
![]()  | はい。なので「Amazon」などのネット通販でも売っていないと思われます。 | 
![]()  | なるほど…。でもよくわかりました。ちょっとお時間かかるかもしれませんが、今買ってきても良いですか? | 
![]()  | え? 今はどこにも売ってないんですよ? | 
![]()  | ちょっと待っててください。 | 



〜約3時間後〜
![]()  | 買ってきました。 | 

![]()  | これ、ですよね。 | 
![]()  | それ、それです…! よく見つかりましたね。日本中を探してもめったに手に入らないレア物ですよ。 | 
![]()  | パソコンに詳しそうなジャンクショップの店員さんに、「RFコンバーターを探しているんですが、秋葉原に売っているお店はありますか?」と聞いたら、「あの店にあるよ」と教えてくれたんです。 | 
ステレオトランスミッターという名前で売っていた、RFコンバーター。かなりレアらしい実際に繋いでみよう!

![]()  | では無事に機械がそろったので、実際に繋いでみることにしましょうか。私も初めての試みなので、かなり楽しみです。 | 
![]()  | 僕もめっちゃ楽しみです。 | 
![]()  | PCからHDMIケーブルで外部出力をし、そのHDMIケーブルをコンポジットに変換。コンポジットケーブルをRFコンバーターに繋ぎます。最後にテレビの空きチャンネルに合わせて電波を送信…。 | 
取材メモ。下手な絵で申し訳御座いません。
ガガガガガガガガガガガガガガガ
![]()  | おおおおおおおおおおおおお!! 映りましたね!!!!!!!! | 
![]()  | やりましたね。凄いですねこれは。感動しています、私。 | 
![]()  | 僕も感動しています。 | 
C) 2016 YDクリエイション Netflixにて独占配信中![]()  | 『火花』ってついこの間の作品なのに、モノクロで見るとめっちゃ昔の作品のように見えますね。パッと見1970年代の映画みたいなのに、現代の役者さんが出てきて、違和感が面白いです。 | 
![]()  | 確かに、これを使っていろんな映画を観たくなりますね。 | 
ベッドで寝ながらこれを観ていたら、マジでかっこいい気がする。ちなみに、動画を流していないと普通のPCの画面が映るので…

なんとも珍しいモノクロの「Yahoo! JAPAN」が映せたり、

Twitterをいじったり出来ます。
モノクロになると普通の写真でも「インスタ映え」になるまた、海外ドラマを観てみると…
Netflixオリジナルドラマ『マインドハンター』独占配信中 ※映像は予告編です字幕の雰囲気も相まって、かなりカッコよく観ることができる。これ、海外ドラマファンからしたら垂涎ものなんじゃないでしょうか。

実験は大成功! 松崎さん、ありがとうございました。
「例えば1970年代を舞台とした映画があるとします。衣装やロケ地、セットなど、かなりのこだわりを持って作られた映画だとしても、2018年の最新機種のモニターで観ると、どうしても現代風になってしまいますよね。でも、このような昔のテレビで作品を観ると、より作品のことを理解して、面白いと思えるのではないでしょうか」
最後にこのように松崎さんがおっしゃっていて、確かにそうだなと。
最新のもので最新の作品を観るのはもちろん良いのですが、




