比嘉愛未、映画「親のお金は誰のもの 法定相続人」で得た"新しい表現"について語る
2023.9.26(火)
比嘉愛未が三浦翔平とダブル主演を務める映画「親のお金は誰のもの 法定相続人」が10月6日(金)より公開される。
同作品は、田中光敏監督と脚本家・小松江里子がタッグを組み、三重県伊勢志摩を舞台に伝説の真珠を巡る家族の大騒動と成年後見制度の問題を描くハートフル・エンターテインメント。
東京でIT関係の外資企業に勤めている大亀遥海(比嘉)は、母・満代(石野真子)が亡くなった知らせを受ける。父・仙太郎(三浦友和)との確執で故郷へ二度と帰らないつもりであったが、生前、母から届いたはがきが気になり、遥海は母の通夜に出席するため、久しぶりに地元・伊勢志摩に帰省することに。通夜会場の広間で大亀家の長女・珠子(松岡依都美)、次女の浜子(山崎静代※「崎」は正しくは「立さき」)、遥海の三姉妹と父親の仙太郎が話をしていると、弁護士・城島龍之介(三浦翔平)が現れ、「これからは私どもが、お父様のご健康、そして財産の管理をさせていただきます」と告げる...。
今回、比嘉にインタビューを行い、本作での役どころや撮影中の思い出などを語ってもらった。
――初めて台本を読んだ時の感想は?
「いろんなテーマが緻密に盛り込まれているので、初見の感想は『さて、これをどう演じようか』というものでした。特に、遥海の役どころは親との確執、親子関係の難しさというテーマを担っていますし、ずっとご一緒したかった田中監督と私のドラマデビュー作の朝ドラ『どんど晴れ』の脚本家でもある小松さんのタッグの作品に主演として呼んでいただけたこともあって、最初は『どうしよう。大丈夫かな』という思いもあって...。でも、考え過ぎるのもよくないと思って、最終的には現場で感じることを大事に、着の身着のままで飛び込みました」

――演じた感想は?
「この作品は"主演が引っ張る"というようなタイプではなく、登場人物それぞれが大切な役割を担っていて、それぞれの調和で良いものが出来上がるという感じだったので、舞台である伊勢志摩という土地の空気感や、スタッフさんやキャストのみんなでセッションしていく中で出てくるものを信じてみようという思いで臨みました。私にとってある種の"賭け"でしたが、今振り返ってみると新しい自分の表現の仕方ができて成長できたと思います」

――新しい表現というのは?
「遥海は心に傷を負っていて、家族との確執からくる苦しみやつらさを抱えている人物なのですが、私も高校時代に親の反対を押し切って今の仕事に就いたので、確執まではいかないですけど、遥海とは近しい感情を抱いた経験があるんです。今回は、そのかつてのつらかった感情を呼び起こして向き合わないといけない役でしたし、ずっとモヤモヤしながらストーリーが進んでいくので演じていて苦しかったのですが、かつて自分が経験した感情だったからこそ、ご覧いただく方に共鳴してもらえて、少しでも何かを行動に移せるきっかけとなって背中を押せるような表現ができたんじゃないかなと思います」

――撮影での印象深いエピソードは?
「遥海が仙太郎に真珠を渡されるシーンで、やっと親子が向き合う大事な場面なので、演じていて自分なのか遥海なのか分からなくなるくらい感情が昂ってしまって、真珠を受け取った手が震えてしまったんです。するとカットが掛かった瞬間、三浦さんが何も言わずそっと震える手を握ってくれたのがとても印象に残っています。静かなシーンなのですが、(役者として)魂をぶつけ合うようなシーンだったので、何も言わずに寄り添ってくださった三浦さんのお気持ちにとても救われました」

――仙太郎と満代の夢がキーワードとなっていますが、ご自身の夢は?
「夢というか目標なのですが、今年から地元沖縄の世界自然遺産の魅力を国の内外に発信する"世界自然遺産大使"に任命されまして。これまでは私にとって沖縄はエネルギーを充電しに帰る場所で、家族や友人と楽しく過ごすことでエネルギーをもらってばかりで、何も還元できていなかったのですが、(芝居を通して表現するのではなく)"比嘉愛未"として同じ世代や若い世代に『こういう自然があるよ』というのを知るきっかけを与えられたらと思っています。そして、環境保護だけじゃなく本当の意味での慈善活動を意識して、やれることをやっていきたいなと考えています」

――作品をご覧になる方々にメッセージをお願いします
「この作品は、遺産問題とか親子問題といった社会的なテーマを持っていますが、シンプルに『赦し』と『愛』がテーマとなっています。いろんな人間関係の悩みを一番解決できるのは、自分や相手を"赦す"ことで本当の赦し合いができ、愛し愛される関係になること。すごく難しいことだけど、できないことじゃない。そういう大切なことを描いているので、私たちが紡ぐメッセージを、ご覧いただいた方それぞれの受け取り方で感じていただければと思います」

撮影=中川容邦 取材・文=原田健
ヘアメイク=AYA スタイリスト=後藤仁子
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