稲垣吾郎のナチュラルで心地良い演技が印象的!等身大の大人のラブストーリー「窓辺にて」
2023.9.17(日)
年齢を重ねるごとに俳優としての深みが増している稲垣吾郎。日本映画界きっての"恋愛映画の名手"である今泉力哉監督がオリジナル脚本で手がけた恋物語「窓辺にて」(2022年)では、妻についてある悩みを抱えるフリーライターを演じた。穏やかで優しく、少しミステリアスなキャラクターが稲垣自身の持つ空気感とピタリと重なり、観る者を美しくほろ苦い、大人のラブストーリーへと誘ってくれる。
本作は、今泉監督の完全オリジナル作品。フリーライターの市川茂巳(稲垣)は、編集者の妻・紗衣(中村ゆり)が担当している人気作家・荒川円(佐々木詩音)と浮気していることに気づくが、妻にそのことを言い出せず、むしろ自分が怒りや嫉妬心を覚えることもなく平静でいられることにショックを感じる。そんな中、とある文学賞の授賞式で出会った高校生作家・久保留亜(玉城ティナ)の小説の内容に惹かれた茂巳は、もしこの小説にモデルがいるならばぜひ会わせてほしいと彼女に願い出る。
(C)2022「窓辺にて」製作委員会
今泉監督の作品には心の機微を描くような巧みな会話劇や、登場人物たちのどこか可笑しみのある関係性がある。また、多くの登場人物が印象に残る群像劇的なスタイルを得意としており、現代の日本映画界で注目を集めている存在の一人だ。
本作で、今泉監督は初タッグとなる稲垣を主人公に抜てきした。"妻に浮気されるフリーライター"という役どころを稲垣が演じることに、意外性を感じた人もいるかもしれない。しかし映画を観てみると、稲垣と茂巳が見事に一体化し、茂巳の心の旅を一緒にたどっているかのような心地よさを味あわせてくれる。
(C)2022「窓辺にて」製作委員会
"浮気をされても怒りが湧かない"という自分でもよく分からない感情に絡め取られながらも、妻にはそれを言い出せない茂巳。妻のシャツのボタン付けをしたり、仕事の相談に乗ったりと、淡々と日常を重ねる茂巳。高校生作家と同じ目線に立ち、パフェを食べながら対等に会話を繰り広げる茂巳...。そのすべてがなんとも自然で、だからこそ一見理解し難い男にも思える茂巳の孤独や葛藤、優しさがじわじわと観客にも伝わってくる。
公開後には稲垣の演技が「とてもナチュラルだ」という感想が多く上がっていたのも印象的だ。第35回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出され、観客賞に輝いた本作。俳優・稲垣吾郎と共に、彼自身の魅力を堪能できる一作となった。
文=成田おり枝
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