女性版「半沢直樹」とも呼ばれた「瓔珞」のウー・ジンイエンが変貌！上海の令嬢3姉妹の争いを描く「伝家」

2023.8.22(火)

数多ある中国の宮廷ロマンの中でも格別の支持を集めた大ヒット作「瓔珞<エイラク>～紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃～」(2018年)。同作の主人公、魏瓔珞役で一躍トップ女優へと上り詰めたウー・ジンイエンをはじめ、富察皇后役のチン・ラン、その弟で瓔珞に想いを寄せる傅恒を演じたシュー・カイら、「瓔珞」を機にブレイクしたスターは数多い。

そんな「瓔珞」のキャストが再集結し、1920年代の上海を舞台に令嬢3姉妹の運命を描き出したドラマ「伝家」が、女性チャンネル♪LaLa TVにて8月30日(水)から日本初放送される。

「伝家」は、シュー・カイとウー・ジンイエンの再共演で注目を集めた「尚食(しょうしょく)～美味なる恋は紫禁城で～」のワン・ウェイ監督、脚本を手がけたジョウ・モーをはじめ、美術・衣装・撮影といった制作チームが再集結した話題作。1920年代末の上海を舞台に、大手百貨店を経営する富豪一家の令嬢3姉妹の姿を描き出す。

「瓔珞」のキャスト陣が再共演していることもあり、放送前から大きな話題を集めた同作。3姉妹の長女と次女を演じるのは、「瓔珞」で富察皇后を演じたチン・ランと、瓔珞を演じたウー・ジンイエン。さらに、長女の夫であるシー・ウェイアン役として、「瓔珞」で乾隆帝を演じたニエ・ユエンも出演し、「瓔珞」とは全く異なる世界観を作り上げている。

物語の軸となるのは、上海の大手百貨店・星華百貨に持ち上がった後継者問題。唯一の息子が医学の道に進んだことで、母親が異なる3姉妹の中から後継ぎが選ばれることになったのだ。

長女・ジョンリンは名家の淑女然とした上品で物静かなタイプ、母方の祖父のいるシンガポールで暮らしていた次女・ジョンユーは父親ゆずりの優秀な頭脳とセンスを持った才女。そして三女・ジョンシウは芸術をたしなむ天真爛漫なお嬢様。気質も性格も育った環境すらも違う3人が、それぞれの才覚で百貨店を盛り立てていく中、激動の時代が彼女たちを翻弄していく。

まず目を引くのは、美しすぎる3姉妹の圧倒的な存在感だ。裕福な家庭の娘として艶やかに着飾る3人のモダンなヘアスタイルとファッション、目の覚めるような赤い口紅が1920年代の上海の空気感を伝え、見ているだけでうっとりしてしまう。名家の豪華絢爛な生活ぶり、栄華を誇る大手百貨店の創業記念式典シーンや集客のためのダンスショーも鮮やかに描かれており、時代性を色濃く反映した美術やセット衣装に至るまで画面全体が華やかだ。

特に、3姉妹の性格の違いを巧みに表現した女優陣の演技も迫力だ。令嬢の気品にあふれ、時に涙も見せながら妹たちのことも家族の一員として愛そうとする長女・ジョンリンのいじらしさは、富察皇后を演じたチン・ランならではだ。

一方、自信に満ちあふれた次女・ジョンユーは、肩で風を切って歩く姿が爽快だ。経営センスは人一倍だが、長く家を離れていたため周囲とたびたび衝突するジョンユー。「瓔珞」で"やられたらやり返す"不屈のヒロイン像を体現し、女性版"半沢直樹"とも評されたジンイエンは、美しく賢い女性がよく似合う。今作ではより奔放な"戦うヒロイン"を体現している。

そして、現夫人とおの間に生まれた三女・ジョンシウを演じたのが、「コウラン伝 始皇帝の母」(2019年)で"絶世の美女"と言われる瓊華王女を演じたジャン・ナン。舞踊や乗馬もたしなむ典型的なお嬢様気質の末っ子だが、どこかあどけなさの残る笑顔で周囲に癒しを与えている。

そんな3姉妹の関係性は、深刻化する後継ぎ争いの中で次第にもつれ合い、やがては自身のプライドを懸けて「家族の絆は関係ない」「星華百貨店と屋敷が欲しいだけ」と対立していく。1920年代の華やかな上海を背景に、美しい3姉妹の思惑が絡み合う「伝家」の世界観。「瓔珞」「尚食」のような古装劇とはまた違う中国ドラマの魅力がたっぷり味わえる作品だ。

文＝酒寄美智子

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