俳優・小西詠斗が芝居をする時に意識していることとは?「職業柄、日常生活でもよく考えていて...」
2023.8.18(金)
お尻に豚のような尻尾が生えている少年・宇津見快成と、そんな快成の"秘密"を知りながら寄り添おうとする少女・樋山那智。互いのことを知りたいと思いながらも、その気持ちをどう伝えたらいいかわからない健気な中学生2人の姿を描く、累計発行部数15万部の人気コミック「尾かしら付き。」。同作の実写版映画が8月18日(金)より全国ロードショーされる。
今回、主人公の快成を演じる俳優・小西詠斗にインタビューを行い、本作にかける思いなどを聞いた。
――本作への出演が決まった際の率直な感想をお聞かせください
「『おぉ、中学生!』と思いました。『中学生...大丈夫か?』って(笑)。僕は今年で23歳になったんですが、まだ学生を演じさせていただけることはとても光栄で嬉しいなと思いましたね。映画が大好きなので、出演させていただけることがとにかく嬉しかったです」
――喜びの一方で、「大丈夫かな」と思うようなことはありましたか?
「台本を読んだ時、この作品は快成の成長物語だと思ったんです。なので『変わっていく快成をうまく表現できるのかな』だったり、『ちゃんと中学生に見えるかな』という不安がありました。でも、大人になった快成を佐野岳さんが演じてくださるということで、とても安心感がありました。同じ役を演じる役者が2人いるというのがとても心強かったです。撮影でご一緒するシーンはなかったですが、佐野さんが現場に来てくださって、快成という役柄について話し合ったり、いろいろなお話をさせていただきました。すごく気さくな方でとても頼りになりましたし、本当に心強かったです。快成という役を佐野さんと2人で作り上げることができたんじゃないかなと思っています」

――快成というキャラクターへの第一印象は?
「"尻尾がついている"という特殊な悩みを持っている役柄なんですが、周りを気にして何もできないという、"学生あるある"な一面を持っているキャラクターでもあると思いました。僕も学生時代は周りのことばかり気にして自分らしく生きれていなかったと思うので、そこはすごく共感しました」

――ご自身と似ているところはありますか?
「似ています。僕、ビビりなので、学生の頃は特にこんな感じでしたよ。大勢の前で発言するのも苦手だったし、周りのことをすごく気にしていたので、そういうところは似ていますね。役があればどれだけ多くの人がいても大丈夫なんですけど、"小西詠斗"として人前に立つのは今でもやっぱり苦手なんです...。昔よりはたくさんの人とコミュニケーションをとる機会が増えて、徐々に慣れてきたと思うんですけど、やっぱり苦手なものは苦手ですね(笑)」
――本作が映画初出演となる那智役の大平采佳さんとの共演はいかがでしたか?
「すごくしっかりしてたんですよ。僕が初めての頃はあんなふうにはできなかったです。撮影の合間はずっと台本を読んでて、役柄に向き合ってるのを見ていたので、『負けていられないな』『僕ももっと台本読み込まなきゃな』と刺激を受けました。大平さんは、那智みたいに強い子だなと思いました」

――小西さんは漫画原作の作品に数多く出演されていますが、個性が確立されているキャラクターを演じる際に意識していることはありますか?
「日常生活の中でも『こういう時、この役だったらどう思うだろう』とかはよく考えますし、僕が日常で喋っている言葉を『この役だったらどういう風に言うのかな』とか、『この言葉をどう受け取ってどう言うのかな』というのは考えちゃいますね。職業柄、日常からそういうことを考えるようになっています。原作のキャラクターを完璧に再現するというよりは、台本を読み込んだり、役作りをしたりした上で、現場では『その瞬間に何を感じるか』というのを一番大切にお芝居しています」

――もし自分にも尻尾があったらどうしますか?
「僕も誰にも言い出せないと思います。でも、この作品に出演して、殻に閉じこもって誰にも言わないでいると何も変わらないなって気付きましたし、勇気を出してさらけ出した方がいいんだろうなとは思いました。でも、やっぱり怖いですよね。コンプレックスって人にばれたくですし。言えないのもつらいですし、歯がゆいなと思うので、那智みたいな存在がいる快成がうらやましいなと思います」

――最後に、映画の公開を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします
「誰もが持っているコンプレックスや、周りと違うということで排除されてしまう感覚など、多くの人が共感できるような部分がある中で、那智みたいな子が出てきて、少しずつ変わっていく快成がいて。そんな2人を応援してくれる人がたくさん増えてほしいという、メッセージ性がある作品だと思うので、ぜひ皆さんも周りにそういう方がいたら気にかけてあげてくれたらすごく嬉しいです。そして、学生ならではの胸がキュンキュンするシーンだったり、不器用な感じにも共感してもらえたりと、いろいろ盛りだくさんの作品だと思うので、ぜひ劇場に足を運んで観てくださると嬉しいです!」
撮影=中川容邦 取材・文=中村実香
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