自由奔放な若者を演じた若き日の郷ひろみが可愛すぎる!秋吉久美子共演の映画「突然、嵐のように」
2023.4.24(月)
新御三家の1人として、1970~80年代の芸能界を席巻したトップアイドル・郷ひろみ。デビュー50周年を迎えた昨年は通算108枚目となるシングル「ジャンケンポンGO!!」に加え、ベストアルバム「Hiromi Go ALL TIME BEST」も発売。今年の6月にもシングルの発売を予定しているなど、現在も精力的に活動を続けている。
「よろしく哀愁」や「お嫁サンバ」、「2億4千万の瞳」といったヒット曲は誰もが知るところで、シンガーとしての印象が強い郷だが、実は歌手よりも俳優デビューの方が早かった。15歳の時、1972年初頭に放送が始まったNHK大河ドラマ「新・平家物語」に平経盛役で出演。これが郷の芸能界デビュー作品となる。
同年8月には「男の子女の子」で歌手デビューを果たし、12月には第14回日本レコード大賞の新人賞を受賞。瞬く間にトップアイドルに上り詰めた。そしてアイドルとして歌番組やバラエティ番組に出演すると同時に、俳優としても多くのドラマや映画に出演するようになる。
郷の演技への評価は高く、1977年には第2回報知映画賞の特別賞を受賞している。新しいイメージの映画スターとして進歩し続けていることに対して送られたもので、この時対象となった作品の1つが「突然、嵐のように」だった。
(C)1977 松竹株式会社
この作品で郷が演じるのは、主人公の若者・石田日出男。自由奔放だが無鉄砲なところがあり、盗んだ免許証で車を運転している時に事故を起こしてしまう。日出男が入院した病院で看護婦として勤務していたのが、秋吉久美子演じる小林由紀。資格を取るため通信教育で勉強している努力家だが、自由な日出男に惹かれ、やがて2人は同棲するようになる。
報知映画賞の対象となっただけあって、本作での郷の演技は秀逸だ。病院で免許証の持ち主になりすましていることがバレても悪びれない態度は、無邪気なイタズラっ子のようだ。由紀とバーで飲んでいて説教されるシーンでは、あどけない可愛さも垣間見せる。そして由紀の唇を奪う前には、気持ちが溢れる最高の笑顔を見せてくれる。
(C)1977 松竹株式会社
しかし、幸せな時間は長くは続かず、さまざまな出来事が2人に降りかかる。事故に遭い流産してしまった由紀のため、日出男は入院費を工面するべく奔走するが上手くいかず、ついには恐喝にまで手を出してしまう。当然、恐喝は犯罪行為だが、その時の日出男は悪人には見えない。相手をゆする電話口でも寂しげで、必死な様子からは、由紀を愛するが故に仕方なく...という空気が漂っている。
輝くような笑顔だったり、必死の表情だったり、その演技からは由紀への愛情と、まっすぐな若さが伝わってくる。優れた容姿ももちろんだが、若さと思いが溢れる人物像を郷がしっかり演じているからこそ、石田日出男という若者が魅力的に映るのだ。
(C)1977 松竹株式会社
果たしてどんな未来が2人を待つのか。共演の秋吉らの名演技と同時に、傷つき、迷う若者を渾身の演技で魅せてくれる若き日の郷の姿を、本作でじっくり味わってほしい。
文=堀慎二郎
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